非常時のセクキャバ実況中継! 高井たかし議員をハメたのは誰だ
緊急事態宣言のなか、歌舞伎町にある性風俗店(セクシーキャバクラ)に来店し、狼藉を働いたのは、立憲民主党の高井崇志衆議院議員だ。そのあるまじき行為に世間は騒然となったが、私はある部分に違和感を覚えた。それは、「週刊文春」と「週刊新潮」が同時にこのスクープを報じたことだ。
とある週刊誌のデスクはこう証言する。
「高井議員のネタですよね。じつはウチにも売り込みがきていたんですよ。しかし、締め切りの関係で文春さんや新潮さん(両誌とも木曜発売)が先にやるだろうなと思い、掲載はしなかったんです。しかし、2誌同時に出るとは思いませんでしたね」
■2誌同時のスクープ報道に抱く疑問
これが普通の週刊誌デスクの感覚である。よほど独自の切り口をもっていない限り、新聞のように足並みを揃えるということは、週刊誌においてはない。2誌を比べてみると、文章を少し変えただけで、足並みが揃っていることがよくわかる。
「ITのコンサル会社を経営していて、住まいは赤坂だと説明。議員宿舎のことですよね」(週刊文春)
「この人なら、お店ではITコンサルタントと名乗っていましたよ。あの方、国会議員なんですか⁈」(週刊新潮)
「高井さんはA嬢を2回指名して、合計120分も滞在していた」(週刊文春)
「最初は指名なしのフリーで、気に入った子がいたのか、たしか店内で指名を入れ合計2時間ほどプレイをしていかれたと思います」(週刊新潮)
「時間一杯ずっと乳首を触っていた。そのうちに身体をビクビク震わせ、『イキそう』『パンツの中が精子まみれになっちゃった』」(週刊文春)
「女の子と互いの乳首を触りあい、パンツの上からイチモツをさすってもらって、最後は店中に響き渡る声で“イクーッ”と」(週刊新潮)
「当初は質問に驚いた表情をみせた高井氏」(週刊文春)
「後日、高井議員を直撃すると、『どうしてそれを……』と驚いたご様子」(週刊新潮)
また、歌舞伎町にある別のセクシーキャバクラ店の従業員は首をかしげた。
「いや、不自然ですよ。ただでさえ売り上げが激減している時期に、おいしいお客さんを電光石火の速さで週刊誌に売り込みをかけるようなことを女の子がするとは思えません。それに、このような店にくる客は自分の職業を隠しますし、言っても適当なことばかり言う人が多い。万が一、彼が自分で政治家だと話しても、まともに取りあったとは思えないですし、高井なんていう一議員の顔を知っているわけがない」
■公安調査庁の人間が証言した
では誰が高井議員の情報をリークしたのか――。3つ以上の週刊誌に一気に売り込みをしようと、普通の女性が考えるとは思えない。インテリジェンスの世界に生きる一部の者たちの間には、「内閣案件」なる言葉が存在する。無論、文字通りの意味だ。内閣府から下りてくる案件というものは確実にある。従業員の言葉を聞いて胸騒ぎがした。陰謀論というものは大抵の場合が空論であるが、私はある人物に本件について問うた。ネタ元(記者の情報源になる人物のこと)のひとりである公安調査庁の人間だ。
「内閣府がメディアに情報を流すことはよくあります。今回もそのケースで間違いない」
彼はそう答えた。週刊文春と週刊新潮の両誌で報じさせることで、より大きなニュースにするという狙いだろう。さらに彼は、内閣情報調査室の人間に「高井の件は内閣案件か」とそれとなく聞いてくれた。「今回は、違う。女性側からのリークだ」と否定したそうだ。当然、認めるわけはないものの、「今回は」が意味することは誰でもわかるだろう。
内閣案件というものに関して、私はこう考えている。上からの指示があったというより、むしろ、関係者が上の人間に対して自ら忖度をしたり、私憤で動いたりするものだ。普段は陰で政権の女房役に徹しているのだが、インテリジェンスの世界になると、プレイヤーとしてつい、しゃしゃり出てしまうのだ。
高井議員はすぐに離党届を出したが、立憲民主党はそれを受理せず、除名処分とした。しかし、高井議員はそれ以上に、今回の電光石火の舞台裏に狐につままれたような気持ちでいることだろう。
(週刊誌記者血風録)