セブンイレブンの一部店舗が元旦にストライキに突入する可能性が出てきた。コンビニオーナーらでつくる労働組合「コンビニ関連ユニオン」は11月11日、都内で会見を開き、2020年元旦に100店舗ほどの賛同を募ってストライキを実施する考えを示した。来週中にも労働環境の改善を求める訴えを申告し、同社本部が応じない場合に元旦の営業を取りやめる。

ストは、オーナーたちがほとんど休日を取れない現状を改善することが目的。元旦は多くの人が休むが、セブンイレブンでは長年店を開けてきた。そこであえてストを実施することで世間に広く訴えていく。

「オーナーは忌引きでも休めない」 しかも、年収200〜500万円が大半


コンビニオーナーの勤務実態をめぐっては、経済産業省が今月5日に「8割強が週休1日以下」「27年間休みを取っていない」などとする調査結果を発表したばかり。同組合で書記長を務める鎌倉玲司さんは「深夜営業の取りやめについては、黙認されるようになってきた」と一定の成果を示しつつ、

「オーナーだって人間なので、休まないことには体がもたない」

と訴えている。

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同組合によると、20店舗ほどを管理する年収2000万円超のコンビニオーナーもいるにはいるが、ほんの一握り。大半は"オーナー"とは言いつつも一般企業の社長とはまったく異なり、自らが現場に出てレジ打ちなどの業務をこなす。しかも年収200〜500万円であることが多く、営業時間や休業日が自分で決められないなど裁量権もほとんどないという。鎌倉さんは

「忌引きなどでも休めないにも関わらず、待遇面は一般の会社員と変わらない。労働環境で言うなら、サラリーマンよりひどいと言える」

と説明した。

「世間に実態を知ってもらえるのが一番」

これまでにも実力行使した例がある。今年2月には大阪府のセブンイレブン東大阪南上小阪店で深夜1時から午前6時までの営業を取り止めて、多くのメディアが取り上げた。以降も、7月に組合に加盟する3店舗ほどが臨時休業したり、発注や送金といった一部業務をストライキしたりすることはあったという。

報道やSNSなどを通じて、コンビニオーナーの労働環境が認知され始めたことについて、鎌倉さんは

「まずは世間に実態を知ってもらうことが一番。(ツイッターなどで議論してもらえることは)大きな成果の1つと捉えている」

とコメントした。

目標は「休日が普通のサラリーマン並みに取れること」

次回の申告には、次の3つを挙げる予定だ。

・(店舗売上の中から本部へ支払う)チャージ料の一律9%を削減
・オーナーに営業時間、日時の裁量権を認めること
・(規定にある)5年ごとの契約見直しを守ること

同組合ではこれまでに2回、公正取引委員会を通じて、24時間営業の強制が独占禁止法に違反しているなどと申告してきた。しかし、14日現在、同社本部からの返答はないという。現在は3回目の申告準備を進めており、鎌倉さんは

「これまでの本部の対応は梨のつぶて状態。せめて、話し合いに応じて、譲歩案でも引き出せれば、ストは決行しない可能性もある」

とした。しかし、本部側が再び申告を無視した場合は、元旦以降も実力行使を続ける可能性を示唆している。鎌倉さんは、今後目指していくべき働き方について、

「最終的な目標は、コンビニオーナーたちが普通のサラリーマンと同じように休日が取れること」

と力を込めて語った。