ツイッター上に、貫禄たっぷりな立ち姿を披露している猫の姿が投稿され、多くの人の目を引いています。

 「ふと気配を感じたらムンッ!とひっそり立っていた……」というひと言とともにその立ち姿をツイートしたのは、漫画家のますだのの子さん。ますださんの家には2匹の飼い猫がおり、この立派な貫禄で立っているのは、ますださんが「坊ちゃん」と愛してやまない“とときち”君。

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 とときち君の立ち姿があまりにもどっしりとしているので、見た人たちからは、「ほんとにトトロいたんだもん!」「ほんとに君は猫なの?」「この猫ペンギンと同じ骨格?」「猫の恩返しのムタさんだ」などなど、口々に感想が飛び出ています。さらには、とときち君の姿をコラージュした画像まで。

 とときち君はロシアンブルーの男の子で、現在10歳。同居しているアメリカンショートヘアのひめちゃんも同い年の女の子。元々骨太なとときち君は、この夏に体重をはかってみたところ、約10kgの巨漢くん状態。対するひめちゃんは2.7kg。この体格の差ですが、2匹は仲良しで、2匹ともますださんのことをとても大事に思っている様子です。

 というのも、ますださんは2018年の夏、大病を患っていたから。とあるイベントのあとに友人らとカラオケをしていた最中に、呂律の回りがおかしい、後頭部が痛いなどといった異変を感じ、そのまま救急車で運ばれ、緊急入院に。CT検査の結果、右脳内出血。幸いにも出血量はそこまで多くなかったため、出血が広がっていかないことを確認しつつ、自然に吸収されるのを待つということに。

 脳の損傷は、右脳であれば左半身に、左脳であれば右半身に現れます。ますださんの場合も、左に麻痺が出現。顔から足の先まで左半分が麻痺してしまうため、口の動きも左右で違いが出て呂律困難や嚥下(飲み下し)困難、バランスが取れない、歩行も困難という状態に。結局、緊急入院から3日間、意識がない状態が続いていたそうです。

 意識がはっきりしてきた頃から、ますださんのリハビリが始まりました。数か月にわたるリハビリと治療により、一時帰宅を経て退院したますださんを迎えてくれたのが、2匹の猫たちでした。

 ますださんは入院前はロングヘアでしたが、入院している数か月の間、思い切ってショートヘアにしたのだそう。進撃の巨人が好きなますださんは、「リヴァイ兵長みたいにして」と、院内に来てくれる美容師さんにお願いしたところ、見事なリヴァイ兵長カットに。似た趣味を持つ病院職員の人々からも絶賛されるほどの兵長っぷりだったそうです。そして一時帰宅した時、盛大に髪形が変わったますださんを見ても猫たちは変わらず、ますださんの帰宅をとても喜んでいた様子だったそう。

 退院した今でも、リハビリはまだまだ欠かせないますださん。ひめちゃんはますださんがリハビリに行く時も帰ってきた時も玄関先で見送り、出迎えてくれます。

 そしてとときち君も、ますださんが足が安定するようにと麻痺で動かない足に装具を付けて立ち上がる時には、遠くにいてもすっとますださんのそばへと駆け付けて装具の横に立っていたり、ますださんがバランスを崩して転びそうな方向に、「もし転んでも僕が受け止めるぜ」と言わんばかりにお腹を出して寝転ぶのが恒例な様子。

 ますださん自身は、転んだときにもしもとときち君が下敷きになるのはやっぱり怖いので、とときち君をその都度どかすのですが、いざ、ますださんが装具と杖で室内を歩き始めると、今度はその先の方へと先回りをして寝転ぶという……。

 障害物を避ける練習!と言わんばかりに杖を真横についても逃げずに横たわったままでいるという、ますださんへの気遣い(?)なのでしょう。ますださんが寛いでいる時は、麻痺している方の手を舐めたり、足先に足をくっつけてくるなど、麻痺していて動かないことは何となく察しているような感じです。

 そんなますださん思いのとときち君が立ち姿を取るようになったのは、今から5〜6年くらい前から。ある日気が付いたら、突然ひょっと立っていたのを目撃して以来、ちょくちょく立っているのだそう。猫飼い漫画家あるあるな、原稿やペンタブなどの上に来て自己アピールしてくる猫が、原稿の上で座り込むではなく立ち上がる……。想像すると不思議な光景です。

 そうでなくとも、ますださんがぼーっとしている時に、隣で同様にぼーっと立っているとときち君……。「はたから見たら多分異様な光景」とますださんは笑っていますが、確かにシュールさは凄そう。

 まだまだますださんのリハビリ生活は続きそうですが、ますださんのご主人と、2匹のねこちゃんたちに応援されながら、漫画家生活は続いていきそうです。

<記事化協力>
ますだのの子さん(@nonokichi)

(梓川みいな)