夏本番なのに「冷たい炭酸」危機?液炭・ドライアイスの需給不安膨らむ
近年の液炭とドライアイスの需要動向は、液炭が年間約80万トン、ドライアイスが同35万トン弱と横ばいで推移する。一方、液炭製品を取り巻く環境は、製油所、アンモニアプラントの統廃合や再編などの影響で調達先が減少し、原料のCO2が不足している。
関西では主に大阪府内の製油所や化学会社など3カ所から原料のCO2を調達している。液炭会社の中には夏の需要期に備え、液炭の貯蔵タンクを満杯にし、在庫を抱え込む動きもみられる。
しかし、2019年は西日本地域で調達先の製油所の定期点検・修理補修により稼働率が低下。加えて、化学プラントの液炭供給ラインのトラブルなどが7月まで続いた。このため、大阪ガス子会社の大阪ガスリキッド(大阪市中央区)は「原料調達が例年に比べて厳しく、十分に確保できなかった」という。
溶接で使用、コスト上昇懸念
大阪市内で自動車部品加工を手がける中小企業関係者は「溶接で液炭を使うが、2年間で2度、値上げ幅が各10―15%に達することがあった」と明かす。生産コスト上昇への懸念に加え、今夏は供給不足から仕事が滞ることを恐れている。
他の液炭各社も調達先の突発的なトラブルが相次ぎ、5月には調達のプラントの一つが20日間も停止する事態に直面した。ただ「液炭不足で顧客の工場稼働を止めるわけにはいかない」(液炭企業関係者)と、ドライアイスの出荷を抑えて液炭に振り向ける動きがある。また、全国展開する液炭会社の中には、他地域の製造拠点や他社から液炭を調達した企業もある。
それでも対応できない場合は分割納品や納期延期で対応した。大阪府内の液炭2次卸売会社は「急きょ関東の液炭会社から調達した」が、結果として物流コストがかさんだ。
19年は西日本で液炭の供給懸念が目立ったが、18年は関東で化学プラントの大規模な生産停止があり、液炭の供給不足の影響は今年以上に及んだ。製油所やアンモニア生産設備の減少や老朽化に伴うトラブル、海外移転など、液炭の需給環境は不安定な状況が続く恐れがある。

