決勝に進出した堤麗斗【写真:角野敬介】

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インターハイボクシング、“令和の怪物”堤がダウン奪いフルマークで4冠王手

 全国高校総体(インターハイ)のボクシングは2日、宮崎市総合体育館で準決勝が行われ、ライト級では“令和の怪物”堤麗斗(2年=千葉・習志野)がフルマークの5-0判定で快勝。4つ目のタイトルへ、決勝に進出した。

 ついに堤の左が火を噴いた。第1ラウンド終了間際。サウスポーからの狙いすました左ストレートがクリーンヒット。相手はたまらずバランスを崩すと、レフェリーがスタンディングダウンを取った。

 RSC勝ちとはならなかったが、危なげなくポイントでは大差をつけて決勝進出。「明日は自分の力をしっかりと出せば結果はついてくると思う」とクールに決勝へ向けた意気込みを口にした。

 165センチとライト級では小柄な堤。この日の相手、祝聖哉(3年=福岡・豊国学園)は180センチで、実に15センチもの身長差があった。リーチ差もかなりのものだが、堤にとっては慣れたものだ。優勝した6月のハンガリーでの国際大会では、180センチ超えの海外選手とも拳を交えた。長身選手に対しては、「伸びあがらないように、下から攻めることが大事」と経験を生かしている。

この日の朝には兄・駿斗からメッセージが

 兄の駿斗(現東洋大)は高校で6冠、世界ユース選手権を日本人として初めて制し、2020年の東京五輪では金メダル候補として注目を集めている。そんな兄からこの日の朝、連絡があった。「『ここはもっとこうした方がいい』って、アドバイスを受けました。こういう風に言われるのは初めてです」と麗斗にとっても驚きだった。

 普段は親友のように仲が良いというが、今まで兄からボクシングに関するアドバイスを受けたことは一度もなかったという。「どれだけ聞いても教えてくれなかった」という兄からの、助言は「やっぱり嬉しかったです」と頬を緩ませた。

 兄の高校6冠超えをターゲットにする堤。4つ目のタイトルと2連覇に王手をかけ、「今までやってきたことを出すだけです」ときっぱり。兄へも、最高の報告を届ける。

◇インターハイのボクシングは7月29日から8月3日まで熱戦が繰り広げられる。全国高体連公式インターハイ応援サイト「インハイTV」を展開。インターハイ全30競技の熱戦を無料で配信中。また、映像は試合終了後でもさかのぼって視聴でき、熱戦を振り返ることができる。 (THE ANSWER編集部・角野 敬介 / Keisuke Sumino)