精密モーターの実力企業が「ブランド改革」に込めた思い
「当社は新たな分野の開拓が必要」と臼井弘明グローバル開発本部モータ技術センター長は、3Dプリンター導入の背景を説明する。OA機器・家電分野を主要販売先の一つとしてきたシナノケンシだが、用途によっては「ここ10年くらい行き詰まっているものもある」(臼井センター長)。このため、12年に新分野の開拓を本格的に開始。新規設計・試作の案件が、一挙に増えることになった。
利用するのは米3Dシステムズ製の「プロジェット3510HDMax」。インシュレーターのような精密な形状に対応できることや、運用支援を担うJBサービス(JBS、東京都新宿区)の手厚い保守メニューなどを理由に、機種を選定した。臼井センター長は「使用量が多いため、保守は非常に大事」と強調する。
JBSの保守は、IoT(モノのインターネット)技術で遠隔地から3Dプリンターの状態を監視できるのが特徴。センサーで装置内の温度などを測定・収集し、主要部品が故障する時期を推定する。「大都市から離れている当社のような企業にとって、ありがたいサービス」と臼井センター長は微笑む。
日刊工業新聞2016年10月6日
※内容・肩書は当時のもの
ロボットも作る
シナノケンシは、倒立2輪ロボット「プレッグ」の最新版を完成させた。複数のロボットの位置を赤外線センサーで認識しながら、衝突させずに複雑な経路を走行させることが可能。決められた経路を進む従来版の仕組みを改め、技術のアピール度を高めた。高度な倒立2輪走行を可能にする制御技術などを発信し、ロボット用モーターなどの販売拡大につなげる。
プレッグは、同社がモーター関連技術を結集して開発したPR用ロボット。技術力を発信し、ロボット分野でモーターなどを拡販することが狙いだ。出力20ワット程度のDCブラシレスモーターを1台につき2個搭載する。
最新版では、1メートル四方の囲いの中を2―4台が秒速10センチメートル程度で衝突せずに動き回る。従来は磁気で床面に設定された経路に沿い、ロボットが移動する方式だったが、今回はパソコン上でプログラミングされた経路を忠実に再現できるようにした。ロボットの天頂部のセンサーと、囲いの縁に複数設置された赤外線投光器の働きにより、各ロボットの位置をパソコンなどで常時監視できる。
倒立2輪ロボットは角速度センサーで検知した本体の傾きを車輪の動作に反映させ、2輪でバランスをとりながら進む仕組み。一定の位置にとどまらせるのが難しいが、「プレッグは(揺れを極力抑え)静止状態にみせることができる」(FAビジネスユニット)という。
同社はこうした高度な制御を実現するモーター関連技術を売り込み、ロボット分野での事業拡大を図る。
日刊工業新聞2016年10月5日
※内容・肩書は当時のもの
