日本共産党委員長・志位和夫氏(64)。国会で見せる冷静な口ぶりと同様に、淡々と安倍晋三総理(64)のことを語り始めた――。

「ひと言で言うと、戦後最悪の総理大臣だと思います。2014年に集団的自衛権行使容認の閣議決定を強行し、2015年9月19日に私たちが戦争法と呼んだ安保法制を強行・成立させました。

 歴代政府は半世紀以上にわたって、『憲法9条のもとでは集団的自衛権は行使できない』ということを憲法解釈として述べてきました。繰り返し、国会でもそう答弁してきました。

 これを1日にしてひっくり返してしまった。つまり、初めて『憲法などくそくらえ』という総理大臣が誕生したわけです。

 憲法というのは、国家権力を縛る、いわば『鎖』です。その『鎖』を平気で引きちぎる総理大臣が出てきた。こんなことをやった人はいない。戦後最悪と言わねばなりません」

 安倍総理とは、1993年初当選の同期で、当選回数も年齢も同じ。だからか、「関係は悪くない」という噂がある。その点を尋ねると、総理と加計学園の理事長との関係が頭に浮かんだのか……。

「特別の個人的な関係というのはいっさいありません。もちろん、ゴルフしたり、会食したりすることもないです(笑)」

 人間的には、総理をどう見ているのだろうか。「かなり辛口ですが」と断わったうえで、こう答えた。

「人間的にも、総理としての資質を欠いていると言うほかないですね。国会での立ち居振舞いを見ていても、著しく品位に欠けます。

 たとえば、閣僚席からヤジる。『早く質問しろよ』と。質問者に対して、恫喝するような発言、軽蔑するような発言も目立ちました。閣僚席からのヤジは、それひとつをとっても内閣総辞職に値するものですよ」

 志位氏が質問に立つと、総理からも自民党議員からもヤジがなく、静まる場合も少なくない。ある自民党の若手議員がその理由を話す。

「志位さんが質問に立つと、勉強になって、正直、感心させられる。だから、ヤジることができない」

 志位氏はどう感じているのか。

「私の質問に対しては、さすがに『早く質問しろよ』とは言わない。一見、神妙に答弁することが多いが、誠実に答えているかというと、そうはいえない。

 困ったことは、噓が平気なことです。たとえば、オリンピック招致の演説で、『(福島原発事故の)状況は完全にコントロールされている』と。

 その種の噓を平気で言う。ここでも総理としての資質を欠いている。そうした問題が集中して表われているのが、森友・加計疑惑に対する態度だと思います」

 2017年2月、森友問題で総理は「私や妻が関係していたということになれば、総理大臣も国会議員も辞める」と発言。その後、森友・加計問題では、官僚による文書の隠蔽、改竄など、前代未聞の事態が相次いだ。

「総理の答弁が真実なら、官僚が辻褄合わせの噓をつく必要はない。私は党首討論で、『噓の答弁に噓で辻褄を合わせる、そんな政治は終わりにすべきだ』と言いました」