馬鹿売れホンダN-BOXか? ガチライバルのタントかスペ-シアか? 子育てママ目線で徹底比較
小さな子供が居る家庭ならN-BOX
子育て中は、毎日が猫の手も借りたいくらいドタバタで、「クルマがあって良かった!」と感じる瞬間が本当にたくさんあるものです(シミジミ)。中でも、心底ママ想いの装備が揃っているなぁと感心しちゃうのが、背高ボディに両側スライドドアの、スーパーハイトワゴンと呼ばれる軽自動車たち。実際、2年連続でホンダN-BOXが販売台数No.1を獲得したり、ママたちの間ではすでにダイハツ・タントがブランド化していたり、人気をヒシヒシと実感しますよね。
ただ、いざ購入しようと思うと、「ん? いったいどれがいちばん良いの? どこがどう違うの?」なんて、悩んでしまうと思います。そこで今回はママ目線多めで、ホンダN-BOX、ダイハツ・タント、スズキ・スペーシアを比較してみたいと思います。
まずは、誰もが求めている「室内の広さ」。というより、子どもの着替えなど室内で過ごす時間を快適にするために、「天井の高さ」を重視するママが多いのではないでしょうか? そんな天井の高さがいちばん高いのは、スペーシアの1410mm。タントの1365mmをN-BOXの1400mmが抜き、さらにスペーシアが上をいきました。とはいえ、実際に乗り込んで室内空間を比べてみると、どうも感覚的にはN-BOXやタントのほうがゆったりと感じます。
じつは、スペーシアが数値的に勝っているのは天井の高さだけで、室内幅・室内長はタント、N-BOXのほうが広いのです。ちなみにN-BOXの室内幅1350mm、室内長2240mmがトップ。確かに高さも大事ですが、感覚的なゆったり感って、それだけで生まれるものじゃないんですね。なので、広さ重視ならN-BOXかタントでしょう。
次に乗り降りのしやすさを比べます。スライドドアなんだから、どれも同じだと思うじゃないですか。これがまた違うんですね〜。もっともインパクトが大きいのは、助手席側の中央にある柱をスライドドアに埋め込んで、ガバッと開口幅1490mmを実現した、タントの「ミラクルオープンドア」ですね。
これがすごいところは、子どもと手を繋いだまま並んで乗り降りもできるし、助手席をいちばん前にスライドしておけば、ベビーカーを畳まずにサッと載せられるし、バッグゲートが開けられないような駐車場でも、ドア側から大きな荷物の出し入れができることなど。乗り降り+αの、想像を超えた使い方ができるのが魅力です。
一方でN-BOXは、助手席側の柱がある一般的なスライドドアです。でも助手席が57cmも前後にスライドすることと、運転席との間に人が通れるくらいの隙間を作り、「センターウォークスルー」を可能としたことによって、子どもと一緒にスライドドアから乗り込んだあとに、いちいちまた車外に降りることなく、そのまま運転席に移動できるのが便利。
これはミニバンでは当たり前にできることですが、軽自動車ではN-BOXが唯一です。また、後席がスライドするのはもちろん、座面を跳ね上げて格納することも可能なので、片側だけ跳ね上げて着替えスペースにしたり、背の高い荷物を積んだり、という使い方ができちゃいます。
子どもが小さいうちは走行中にグズることが多く、停車しては様子を見てオムツ替えや授乳をして、ご機嫌になったら走り出す、ということの繰り返しでした。そんなとき、雨の日でも猛暑でも車外に出ることなく子どものそばに移動できる、というのは本当に助かります。また、オプションですが手を使わずに足の動きだけでスライドドアを自動開閉できる「ハンズフリースライドドア」の設定もあるので、N-BOXは赤ちゃんがいるママにとくにオススメしたいですね。
そしてスペーシアもN-BOXと同じ一般的なスライドドアですが、ここで先ほどの天井の高さが効いてきます。そう、ドア開口部の高さが稼げるんですね。大人があまり腰を曲げずに乗り降りできるし、ステップも地上からわずか345mmと低く抑えられているので、3歳くらいの子どもから1人でもラクに乗り降りできます。タントやN-BOXのように、ベビーカーをそのまま積んだりはできませんが、普通に使いやすいスライドドア。なのでスペーシアは、幼稚園児以上の子どもがいるママや、両親と同居していて大人も頻繁に後席に乗るよ、というママにオススメだと思います。
小柄な女性はN-BOXかスペーシアが運転しやすい
続いて比較するのは、運転しやすさ。ママになってから、必要に迫られて久しぶりに運転を再開する、という人も多いですよね。軽自動車だからそもそものサイズが小さいし、デザインも直線基調だから、基本的にはどれも運転しにくい、ということはないのですが、体格が小柄な人は要注意。
しっかりと運転ポジションを合わせないと、視界が悪くなるため障害物を見逃してガリッとこすっちゃった、なんてことにもなりかねません。小柄な人にオススメしたいのは、従来よりも運転席のヒップポイントを30mmほど高めて、運転しやすさにこだわったというN-BOXとスペーシア。
N-BOXは、フロントガラス両側の柱をわずか54.7mmにまで細くして、広〜い視界を確保しているのもポイントです。それに対してタントの運転ポジションは、ちょっと小柄な人にはブカブカ感があるかもしれません。購入前に試乗して、しっかりチェックしてくださいね。
安全装備は、3モデルともメーカー最新の技術が投入されていて、衝突回避・被害軽減ブレーキをはじめ、誤発進抑制機能(前方および後方)、オートハイビーム(スズキはハイビームアシスト)などが揃います。でも追従式のACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)や車線維持のためのステアリング制御機能(LKAS)といった、運転支援技術が搭載されるのは、N-BOXだけです。それらは主に高速道路での作動を目的としたものなので、市街地メインで使うなら恩恵はないですが、ロングドライブも頻繁にするとなると、あれば安心な機能です。
4人乗車が多いひとはタントの積載量に注目
さて、次はラゲッジの使いやすさを比べてみましょう。ベビーカーやマザーズバッグなど、ママが日常的な荷物を積む時に気になるのは、サッと荷物スペースを広げられるかどうか。後席にスライド機能があり、倒す時は肩口にあるレバーでワンアクションで後席がダイブダウンできるのは、どれも同じ。加えてN-BOXとスペーシアは、荷室側からもスライド操作が可能ですが、スライド量がいちばん大きいのは、タントの24cm。なので、頻繁に操作しそうな人はN-BOXかスペーシア、4人乗車時の積載量を重視するなら、タントがいちばんということになりますね。
さらに、子どもが成長してくると、朝は駅まで自転車で出かけたけれど、帰りは遅くなるからクルマで迎えに行って、自転車ごと積んで帰ってくる、なんて使い方が多くなります。そんな時に便利なのは、いったいどれでしょう? 女性にとって自転車はとにかく重量物なので、まず気になるのは荷室フロアの地上からの高さ。これが低いほど、積むのがラクなはずですが、N-BOXは470mm、スペーシアは510mm、タントは595mmで、N-BOXの圧勝。ただ、スペーシアには自転車のタイヤを載せると積み込みがラクになるという、ガイド溝が掘ってあり、こうしたニーズを考えてくれていると感じます。
それでは最後に、そのほかに装備されているママ想いの機能で、これはイイ! というものをご紹介。まず、冷え性&寒がりなママに朗報なのが、スペーシアの「スリムサーキュレーター」。猛暑日や寒い日などに、前席と後席では温度差問題が勃発しますよね。後ろが「暑い〜」と言うのでエアコンを強くしたら、運転席のママは手が氷のように冷えてブルブル、なんて具合です。このスリムサーキュレーターがあれば、素早く室内の空気を循環させて、温度差問題を解決してくれます。また、エアコンの風を拡散して直接顔に当たるのを防ぐことができる、「風量調整機能付エアコンルーバー」も優れモノ。シートヒーターやリヤヒーターダクトもあるし、スペーシアなら1年中快適に過ごせそうですね。
N-BOXで素晴らしいのは、いつまでも若くいたいママにとっての救世主、紫外線カット機能! もちろんタントやスペーシアにもUV&IRカットガラスはついてますが、それはフロントだけ。N-BOXは、360度グルリとついているんですね。なので、室内全体の冷房効果が高まって、快適性や燃費アップにつながるし、真夏などに停車中のチャイルドシート表面温度が2度ほど低くなるという実験結果もあるそう。日焼け対策だけでなく、暑さ対策としても頼もしいですよね。
というわけで、いろいろ比べてきましたこの3台。ちょっとタントが劣勢かな、という感じですが、それもそのはず、タントはそろそろモデル末期で、新型登場の噂もチラホラと聞こえています。なので、それを待ってから検討するというのも一つの手。それまで待てないなら、小さな子どもがいるママやロングドライブが多いママにはN-BOX、子どもだけじゃなく両親を乗せる機会も多い、というママにはスペーシアをオススメします。