セリーナ・ウィリアムズ【写真:Getty Images】

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女子トップ選手の見解をCNN特集、大坂に同情論噴出「アイム・ソーリーは悲しかった」

 テニスの全米オープン女子シングルス決勝で大坂なおみ(日清食品)に敗れたセリーナ・ウィリアムズ(米国)。試合中に主審への暴言を吐き、性差別を訴えたことが波紋を呼び、関係者、メディアを巻き込んで賛否が沸き起こっていたが、米メディアは現役選手の見解を特集。主審とセリーナの擁護は真っ二つに分かれ、大坂に対する同情論も噴出している。

「全米OPセリーナ・ウィリアムズの逆上に現役女子プレーヤーも分裂」と見出しを打って特集したのは、米大手放送局「CNN」だった。記事では「セリーナ・ウィリアムズが全米オープン決勝でナオミ・オオサカに敗れた後に訴えた性差別発言を巡り、WTAツアーに参戦する女子選手の意見も分かれている」と記し、現役選手の見解をまとめている。

 世界ランク1位のシモナ・ハレプ(ルーマニア)、ウィンブルドンを2度制している同5位ペトラ・クビトバ(チェコ)は「CNN」に対し、審判による男女差別はないとの立場を取っているという。記事では、ハレプのコメントを紹介。ラモス氏の判断は正しかったと擁護している。

「ルールはルール。男子と女子のルールに違いがあるとは思わない。主審は自分の仕事を遂行しただけ。彼(ラモス氏)、その他の審判のジャッジにおかしいと思ったことはない。もちろん私も警告を受けるべき時は受けているし、それは当然のこと」

 一方、クビトバは「正直、差があるとは思わない」と話し、性差別はないとの立場。同4位のキャロリン・ガルシア(フランス)も「自分の経験から言って、審判は男子も女子も同じように扱っている。もし、誰かが決勝の舞台で彼女(セリーナ)のように激怒し、ああいう行動を取ったなら、ペナルティーを受けるのは当然」と同調したという。

 ラモス氏の判定を支持する声もあるが、セリーナに対して理解を示している選手もいる。セリーナの長年の友人であり、全豪オープン覇者の同2位キャロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)だ。「彼女の言っていることには的を得ている部分もある。誰にでも自分の意見を言う権利はある」と語ったという。

ウォズニアッキは擁護「彼女は指示を仰いだりする選手ではない」

「歴代最多に並ぶ24回目のグランドスラム制覇を目指して戦っていれば、感情的にもなるはず。コートに立てば、何か期するものもあるはず」とも語ったウォズニアッキは「セリーナのことを知っていて、彼女のキャリアを見てきた人間なら、彼女が試合中にコーチの指示を受けたり、指示を仰いだりする選手ではないことは分かるはず」と不正を働く選手ではないと断言したという。

 また、ラモス氏の判定については「あの場面で軽く注意する程度にしておくべきだった。そして、コーチが指示していると気づいたのであれば、それをやめさせるべきだった」と述べ、「より厳格なルールが必要だと思う。(現行ルールは)どこかグレーな部分があるから」とあいまいな基準を排除するように訴えたという。

 全米ファイナリストの経験もある同18位のマディソン・キーズ(米国)は「(セリーナは)個人攻撃を受けたと感じているはず」と言い、記事では「他の米国選手たちは責任者が今回のことから学ばなければいけないとしている」と記述。そして、今回の騒動において一番の“被害者”が大坂であることも伝えている。

「誰もが一致しているのは、この一件が、オオサカのグランドスラム・チャンピオンという喜びを台無しにしてしまったということ。特に、トロフィー授与の際に観客が(審判に対し)ブーイングをした場面だ」

 このように同情し、クビトバは「ナオミにとっては気の毒だった。彼女は見事な戦いをしたのに、不運なことに観客がそれを称えようとしなかった」、キーズも「グランドスラム優勝を果たした彼女の口から一番先に出てきた言葉はアイム・ソーリーだった。とても嫌な気持ちにさせられたわ。あの光景を目にするのは、本当に悲しかった」と語ったコメントを紹介している。

 決勝から2週間たっても、大手放送局が特集を組むほど。それだけ、今回のセリーナ騒動が米スポーツ界にとって大きなインパクトを与えてしまったようだ。(THE ANSWER編集部)