ホンダ・N-VANはN-BOXをベースに全高を高めることで高い室内効率を実現しています。全高が60〜155mmも高くなり、助手席側をセンターピラーレス構造としたことで、ボディ(フロア)やシャーシを強化。

これによりN-VANの車両重量は930kg〜1020kgと、N-BOXの890kg〜1030kg(重くなるスロープ仕様を含む)と比較すると、40kg前後は重くなっているようです。

また、ストップ&ゴーを乗用の比較にならないほど繰り返す商用ユースだと、CVTの耐久性などが心配になります。商用がMT、3ATや4ATが多いのもそうした理由からで、N-VANでは金属ベルトの強化などにより、耐久性を担保しながら、最大積載量350kgの荷重にも対応。

ターボ仕様であれば、N-BOXに対するハンディはあまり感じさせません。全高の高さによるロール量(感覚ベースで)の違いはあります。それでも全高が1.95m前後であることを考えると、フットワークもかなり頑張っています。

一方で、空荷だとやや跳ねるような乗り味になり、乗用のN-BOXのようなソフトな乗り心地までは当然至っていません。あくまで積んで走ることを想定した足まわりになっています。

また、N-BOXよりも少しロードノイズも高めに感じられます。以前のアクティ・バンなどと比べると雲泥の差といえるほど、大幅に進化しているのは間違いないものの、乗用モデルと比べるのは酷かもしれません。

運転席以外のシートは助手席と後席の作りが平板で、薄くなっています。また、後席のシートピロー(枕)の設定(拘束する意味のヘッドレストではない)からも、あくまで「短時間、緊急用」という割り切りなのが分かります。

N-VANはあくまで「1人乗車+荷物」を想定した軽バン。2人以上で「快適に」乗るのなら迷わずN-BOXを指名すべきでしょう。

(文/塚田勝弘 写真/前田惠介)

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