提供:週刊実話

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 これまで親子のような絆の関係とされていた、小泉進次郎自民党筆頭副幹事長と二階俊博幹事長との間に亀裂が入り、秋の総裁選に大きな影響を与えそうだという。
 仲違いの発端と言われているのが、6月10日投開票の新潟県知事選。自公は花角英世前海上保安庁次長、野党が池田千賀子元県議を支援し、結果、3万7000票の差で花角氏が当選を果たした。
 「同県の東京電力柏崎刈羽原発の再稼働は、安倍自民のエネルギー政策の要。女性問題で辞職した前知事の米山隆一氏は、再稼働に猛反発して野党が担いで当選しており、それだけ県民は再稼働に敏感になっています。党としては、表面上は再稼働に慎重姿勢ながら、本音では推進派と言われる花角氏を、どうしても当選させる必要があった」(自民党ベテラン議員)

 安倍首相としても、この選挙に負けるようなことがあれば総裁選へ向けての立場が危うくなる。ただでさえ森友、加計両学園疑惑による国民不信で政権支持率は30%台をウロウロし、「来年の統一地方選、参院選は安倍では勝てない」と、党内の不安が増大、一気に安倍降ろしが加速するためだ。
 「そこで知事選必勝を託されたのが二階氏で、実は自身も、この選挙には首をかけるほど気合いが入っていたようだ。米山氏が辞任した時点で、真っ先に自分が運輸相時代に秘書官だった花角氏に立候補者として白羽の矢を立てましたからね。自ら何度も新潟入りし、土建、観光業者などを相手に頭を下げて飛び回ったほど。これには、先々の二階体制の地固めの意味もあるとの見方もある」(同)

 しかし、それに冷や水を浴びせたのが進次郎氏だった。
 「今回は原発再稼働に慎重な新潟県民に配慮し、なるべく政党色を消すため党幹部の街頭演説は避けたものの、裏では幹部らがローラー作戦を敷いていた。そうした中、二階氏は影響力の強い進次郎氏が、当然、現地入りをすると思っていたが、周囲が頼み込んでも最後まで頑なに拒み続けた。安倍批判を強める発言やその態度に二階氏の堪忍袋の緒が切れ、2人の間に亀裂が入ったというのです」(進次郎氏周辺関係者)

 進次郎氏を筆頭副幹事長に抜擢し、「首相がもし総裁選に出馬できない緊急事態に陥った場合、進次郎氏出馬の票のとりまとめまで考えていた」(二階氏周辺関係者)という二階氏に、なぜ進次郎氏は盾つくような行動に出たのか。
 進次郎氏シンパの若手議員はこう言う。
 「それは総裁選に自らの意志で立候補する腹を固めたからですよ。もともと進次郎氏は、大臣経験や党の要職を経てからと考えていたが、自分とほぼ同い年の北朝鮮の金正恩委員長がトランプ米大統領と渡り合う姿を見て、相当刺激を受けたらしい。そこで今がチャンスなら打って出るべきと考えたが、安倍支持を明言している二階氏にいちいち気を使っていると出馬できない。そこで喧嘩を売るような動きに出たわけです。もちろん、そこには裏打ちされた自信もある。父親の純一郎氏が新潟入りして野党支援の動きに出たのも、ちょうどいい口実になったのではないか」

 ただ、二階氏と激突したところで、総裁選出馬を模索する進次郎氏に勝算はあるのか。安倍首相が出る最大派閥の細田派幹部は、「進次郎氏が最も脅威だ」として、こう語る。
 「安倍支持を明確に打ち出しているのは細田派ほか麻生派と二階派。新潟県知事選に勝ったことで総裁選出馬のベースが固まったいま、あとは他派をまとめ無派閥にどれだけ浸透するか、さらに地方票をどれだけ確保できるかに動いている。しかし、そこで進次郎氏が妙な動きを見せると、その計算がまったく成り立たなくなるし、二階派さえおぼつかなくなる」

 現在時点で他の候補者は、石破茂、岸田文雄の両氏で、後ろ盾はそれぞれ20人と48人の自派閥のみ。竹下派や石原派、谷垣グループなどへの支持拡大とはいかず、苦戦している。