2017年幻の首位の悔しさをバネにミニバンではセレナが躍進

 自販連(日本自動車販売協会連合会)及び、全軽自協(全国軽自動車協会連合会)の各販売統計を基に、含軽(軽自動車と登録車を合わせたもの/登録車のみの統計は徐軽とも呼ぶ)統計での2018年5月の新車販売台数上位30車のランキングを作成した。

 軽自動車及び登録車を合わせて販売トップとなったのはホンダNボックスで1万8817台。Nボックスは2018年になってから含軽統計での販売トップを続けている。

 5月は上旬に大型連休があり、ディーラーのもこのタイミングでまとまった休みを取るので稼働日数が少ないのだが、連休明けからは事実上の夏商戦スタートとなるので、ある意味“セールスマン泣かせの月”と呼んでもいいだろう。

 6月末にフルモデルチェンジや新規投入だけでも、新型トヨタ・クラウン、トヨタ・カローラ・スポーツ、スバル・フォレスター、ダイハツ・ミラ・トコットなどがデビュー予定となっており、直近の販売実績につながる車両の販売活動のほか、前述したようなデビュー予定車の予約受注活動も進めなければならないので、さらにセールスマンには“しんどい月”になったはずである。

 7月13日発表ともされている、ホンダの新型軽商用車“N-VAN”は4月20日からホンダのホームページにおいて先行公開されている。このような先行して新型車の情報が公開されたタイミングから、販売現場では予約受注へ向けた販促活動を本格化させるのが一般的。あくまで商用車であるものの、個人ユーザー向けの仕様も用意していることもあり、初期受注の目標台数はNボックス並みに設定されているとの話も聞いている。

 そのような大きな販売目標をまるっきり新規客だけで達成しようとするのは困難。バモスやアクティ・バンの後継との位置付けであるものの、バモスやアクティ・バンユーザーへの代替え促進でも全然足りないだろう。当然ながらNボックスの購入検討をしていたひとや、先代NボックスユーザーがN-VANへ流れるという動きは容易に想像できる。

 つまり常勝Nボックスは身内に現れたニューカマーにその地位を脅かされかねない状況にあるともいえるのだ。それでも今後もいまのような月販平均で2万台近辺を維持し続けるならば、自社届け出による販売台数の上乗せが増え、届け出済み未使用中古車が市場に溢れることにもなりかねない。今後の動きに注目したいところである。

 登録車トップは含軽統計で3位に入っているアクア。4月3日に改良を行ったばかりで、5月は初めての改良後モデルのフル販売月となった。eパワー仕様もラインアップされ、アクアのライバルといえるノートは、今年に入ってから1月1万2444台、2月1万3769台、3月1万9356台と、完成検査不正問題のダメージも残り、本調子ではないものの1万台オーバーを維持し続け、新年度の4月からは息切れムードなのか1万台以下となっており、アクアはこのタイミングで改良を行い、登録車トップに輝いたといえよう。

 ヴォクシーが2017暦年でミニバンクラス販売ナンバー1となったのは、テレビCMでもアピールしており、ご承知のひとも多いはず。統計を見ると2位のセレナとはわずか4000台弱の差となっている。完成検査不正問題がなければおそらくセレナが1位になっていただけに、それが悔しかったのか、2018年に入ってからはセレナのミニバンクラスでの販売トップが続いている。

 3月からはeパワーモデルが追加発売となっていることも販売台数増に貢献しているようだが、結構な数の自社登録を行い販売実績の上積みを行っている模様。そのためか、このクラスで登録済み未使用中古車としてセレナが店頭に並んでいることも多い。

 日産は2018暦年締めでの、ミニバンクラス販売ナンバー1の座をセレナに確実に取らせようといまから本気モードに入っているようである。