経産省、CCC、カネボウ…「主体的に働き方を『選び取る』時代がやってきている」

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 「人生100年時代」の到来は、自身の可能性を追求しながら、働き続けることの意味を私たちに問うている。もはやひとつの企業で勤め上げ、定年と同時に引退ではない。意欲や経験を生かしたいと考える人にとって、地域の中小企業は選択肢のひとつとなるはずだ。大都市から地方への転職や地方企業による大都市からの採用が広がるマーケットづくりに取り組む、日本人材機構の小城武彦社長と、地方で働く魅力、これからのキャリア形成にについて考える。

経営幹部人材を紹介
 ―日本人材機構は、地域の企業に経営幹部人材を紹介する事業を展開しています。現状はどうですか。
 「僕らがターゲットにするのは、地域の中小企業が自立的・持続的に成長する戦略をともに策定する実力を兼ね備えた人材です。30代から50代前半の東京でバリバリ働いている人です。第一線で活躍する世代が転職するのかと思われるかもしれませんが、やりようによっては動くというのが結論です」

 ―地方の活性化には、地域経済を担う企業が元気になる必要があることは分かります。しかし、なぜ経営人材を都市部から送り込むのですか。
 「東京一極集中の是正には、地域の企業の生産性を上げ賃金水準を高めることがカギとなります。それには従来の延長線上にはない事業モデルの転換や新規事業への進出が不可欠です。これらはまさに経営課題ですが、中小企業経営者には参謀もおらず孤軍奮闘しているのが実情です。オーナーの悩みに寄り添い、ともに課題を解決し将来展望を描くことで、地方創生を実現するのが僕らのミッションです」

事業の「醍醐味」
 ―どんな人がその役を担えるのでしょうか。
 「事業モデルや業務プロセスの改革は相当の力量を伴います。ところが、こうした改革を遂行できる、バリバリ活躍するような人は東京でも引っ張りだこなだけに、これまでは地域の企業で働くことが選択肢となり得ませんでした」

 ―だから政府主導で取り組むと。
 「そうです。都市部の経営人材が地方に流れる仕組みがマーケットベースで機能する姿を目指しています」

 ―都市部の大企業で働く人の目に、地方企業はどう映るのでしょうか。
 「地域の中小企業で働くことはチャレンジングで面白いと感じる人が予想以上に多いと感じています。組織の歯車ではなく、自分の意思で事業を動かせることや市場や顧客の反応がダイレクトに返ってくる手触り感など、まさに『事業の原型』としての醍醐味がある。その魅力が再認識されつつあるのではないでしょうか」

 ―中小企業はオーナーの個性や経営哲学が色濃く表れていますよね。
 「地方ではオーナー会社がほとんどです。彼らには、人生をかけて事業を築き上げてきた人ならではの凄みがある。大きな組織では、なかなか出会う機会がない人たちの理念や生きざまは、新たなロールモデルとの出会いです」

 ―「寄らば大樹」的な発想が薄れつつあるとしたら、人生100年時代が叫ばれるなかで、自分なりにこの先、どう生きるかを模索し始めた人が増えていることも背景にあるのでしょうか。大企業で悶々とするより、セカンドキャリアを切り開こうと。
 「そうでしょうね。東京勤務の大手企業管理職を対象に、こんな調査をしました。『あなたと同年代の中で能力を発揮し活躍している人の割合はどの程度ですか』。『3割以下』の回答が半数以上を占めました。また二人に一人が『キャリアをやり直せるとしたら、転職を選択する』と考えている実情も明らかになりました。つまり、自分の力を生かせる道を進んだ方がいいと考えているのです」

 ―転職が当たり前になってくる時代、とりわけ地方の中小企業で活躍できる人材像は。