残り時間が少ないところでピッチに送り出された久保。PKからの得点とはいえ、チームの勝利を決定付ける一撃は大きなアピールとなった。 (C) Getty Images

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 現地時間4月1日、ベルギー・リーグ優勝を争う上位プレーオフが行なわれ、アンデルレヒトとヘントが対戦した。
 
 上位6チームによって争われる同プレーオフは、勝点をレギュラーシーズンの半分にして10試合が行なわれるため、どのチームにもリーグ優勝の可能性がある。そんななかでの2位のアンデルレヒトと4位のヘントの強豪対決はプレーオフの行方も占うカードとして注目された。
 
 このカードは日本人対決も注目ポイントとなっていたが、アンデルレヒトの森岡亮太は4-2-3-1のトップ下で先発起用されたものの、ヘントの久保裕也はベンチスタートとなった。
 
 キックオフ直後からアンデルレヒトが攻勢を強めるなかで起点となった森岡は、6分にオフサイドになったものの、1トップのウカシュ・テオドルチュクに決定的なスルーパスを送り、それ以降もバイタルエリアで頻繁にボールを受けては、冷静に捌いて攻撃を活性化させた。
 
 立ち上がりに猛攻にさらされたヘントだったが、15分に久保の代わりに右サイドで先発したサミュエル・カルーが惜しいシュートを見舞ってから試合展開を一変させる。出足の鋭いプレスでボールを奪取してはカウンターに転じ、多くの決定機を創出した。
 
 徐々にルーズなプレーが悪目立ちするようになったアンデルレヒトは、ヘントのアグレッシブな攻撃を前に後手に回って、全く良いところがないまま前半を終えることになった。

 
 前半途中から盛り返してペースを掴んだヘントは、後半開始早々に均衡を破る。
 
 47分、右サイドをドリブル突破したカルーがクロスボールを供給。これはファーサイドに流れるも、ビルヘル・フェルストラーテが折り返して、最後はゴール前の混戦からブレヒト・デヤーヘレが押し込んだ。
 
 先手を取られたアンデルレヒトは、その直後から反攻に転じる。57分にはゴール前でフリーとなっていた森岡が決定機を得るも、狙いすました右足のシュートは惜しくも右ポストに嫌われた。
 
 その後も一進一退の攻防が続いたなかで、ヘントが79分に先制点を挙げたデヤーヘレを下げて久保を投入。ここで試合の注目要素でもあった日本人対決が実現した。
 
 残り時間が少ないなかで4-2-3-1のトップ下に入れられた久保は、不用意に攻めようとはせず、ボールをキープして時間を経過させる。すると、絶好機が訪れる。
 
 86分、ヘントのフェルストラーテがボックス内で倒されてPKを獲得。ここでキッカーを託された久保は、ゴール左隅へシュート。これは相手守護神マッツ・セルスに止められるも、こぼれ球を押し込んでネットを揺らした。
 
 2月10日のシント=トロイデン戦以来となる久保のシーズン8ゴール目で試合を決定付けたヘントは、その後は危なげなく逃げ切って、アンデルレヒトをシャットアウト。結局、試合は2-0でアウェーチームが快哉を叫んだ。
 
 試合序盤からチャンスを得ながら仕留めきれなかった森岡。一方の久保は途中出場ながらチームに暫定2位に浮上させる決勝点を放つなど、目に見える結果を残し、注目の日本人対決は後者に軍配が上がった。