首脳会談後の共同会見に臨んだ韓国の文在寅大統領と米国のトランプ大統領(韓国大統領府提供)

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韓国の文在寅大統領とドナルド・トランプ米大統領は7日、青瓦台(韓国大統領府)で首脳会談を行った。会談では、主に北朝鮮の核問題が話し合われ、両首脳は北朝鮮の「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」が必要との認識で一致した。その一方、文氏は従来の対北対話路線を封印。韓国の軍事力強化に向け、米国にいっそうの支援を求めていく姿勢を鮮明にした。

両首脳は会談で、韓国軍のミサイル弾頭重量を制限しているミサイル指針を改定することで合意した。1979年に作られた同指針(2012年改定)により、韓国が開発するミサイルは、射程距離800キロメートル、弾頭重量500キログラムまでに制限されている。今回の改定により、韓国は射程距離800キロメートルまでならば、弾頭重量に制限を受けずミサイルを開発できるようになった。

ミサイルは弾頭重量が大きいほど威力が増し、先端技術によるピンポイント攻撃能力の向上と相まって、北朝鮮の重要目標をより確実に破壊できるようになる。

また、文氏は会談後の共同記者会談で「先端の偵察設備をはじめとする米国が保有する軍事的な戦略資産の獲得について、韓米間で協議を始めることにした」と述べ、米国からの新たな兵器・技術の導入を進める姿勢を示した。

これを受けトランプ氏は「世界で最も強力な軍事資産をわれわれは持っている。戦闘機でもミサイルでも米国のものが最も優れている」とした上で、「韓国は数十億ドルの武器を注文すると話した。米国の多数の兵器を買うことにしたことに感謝する」と述べた。

一方、両首脳は、トランプ氏が「ひどい取引」と呼んで問題視してきた米韓FTA(自由貿易協定)の再交渉を迅速に行うことでも一致。同FTAにより恩恵を受けてきた韓国だが、文氏は見直しに抵抗しなかったもようだ。

文氏はまた、「今は(北朝鮮に対する)制裁と圧迫に集中しなければならないときだ」と述べ、北朝鮮との対話について「語るべき段階ではない」との考えを表明。圧力強化で一致している日米と共同歩調を取る方針を明確にした。

トランプ氏は、米軍が3つの空母打撃群と原子力潜水艦を朝鮮半島近くに配置していることを明らかにし、「実際に使用することがないことを望む」と警告した。文氏とトランプ氏の首脳会談は就任後3回目。米大統領が韓国に国賓として迎えられるのは1992年のブッシュ大統領(父)以来25年ぶりとなる。