ソフトバンク・内川聖一【写真:藤浦一都】

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CSファイナル史上初の4試合連続弾「打った瞬間、完璧だと思いました」

 21日、ソフトバンクの内川聖一がクライマックスシリーズ(CS)・ファイナルステージ第4戦で、4試合連続となる同点弾を放った。CSファイナルステージでの4試合連続弾は史上初の快挙だ。

 1点を追う6回裏、楽天の2番手・宋家豪の3球目のストレートをとらえ、レフトスタンド中段へと運んだ。第2戦では宋の前に空振り三振に倒れたが「前回は初対戦だったのでやってみて感じたこともいっぱいあったし、それをこの打席に活かさないといけないという思いがありました。うまく反応して打てたかなと思います」と、見事にリベンジを果たした。お立ち台で「打った瞬間、完璧だと思いました」と語ったように、打球の行方を見守りながら一塁に向かって何歩か歩いて、ようやく駆け出した。

 CSファイナルステージの初戦から4試合連続の本塁打。2014年には日本ハムの中田翔がCSで4試合連続本塁打を放っているが、その記録はファーストステージ第3戦からの“ステージまたぎ”で、ファイナルステージでの4試合連続は史上初となる。ただ、内川自身は「終わった時に『そんなこともあったんだな』と思えばいい」と記録には無頓着だ。

 ベースを一周し、チームメートの祝福を受けてようやくベンチに戻った瞬間、今度は中村晃の決勝弾が飛び出した。内川はライナー性の打球の行方を確認すると、ベンチで大きくガッツポースを見せた。「それはもう勝ち越しのホームランですから。ホームランを打つことが大切なことではなくて、最後は勝たないといくらホームランを打っても何のプラスにもならない」。初戦と第2戦の自らの2本を引き合いに出すように語った。

ポストシーズン絶好調も「毎日が誤差との戦い」

 打撃について「毎日が誤差との戦い」だという内川は「1ミリボールとバットが入るところが違えば結果はまったく違うものになる。今はそこにしっかりバットが入っていっているということだと思います」と好調の要因を自分なりに分析した。

 キャプテンで4番。その重みを背負って戦い続けながら、今季は故障で長期間チームを離れた。責任や申し訳なさを感じながらの1軍復帰に、思うところはたくさんあるはずだ。

「休んでいる間、頑張ってくれていた人がたくさんいる中で、最後に上がってきて『結果が残せませんでした』ではチームに申し訳ないことになってしまう。『最後に戻って(試合に)出る時は活躍しなきゃいけない』というイメージを持ってずっと(調整を)やっていました。結果が出てうれしいというよりも、ホッとしているというか、『ああ、今日もよかったな』と思うだけで、また明日のことしか考えないですね」

 この日の勝利でCS突破に王手をかけた。あと1勝で日本シリーズ進出が決まる。「一歩近づいたことは間違いないですが、1つ勝たないと終わらないというのも事実なので、また気持ちを切り替えてチームが勝てるようにやっていければいいなと思います」と、キャプテンは落ち着いた口調でそう語って会見を締めた。(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)