待遇や環境の改善のために転職を考える人の割合が上昇していることが、総合人材サービスのインテリジェンス(東京・千代田、峯尾太郎社長)の調査で分かった。

 転職希望者のうち約3万5千人を対象に、転職理由を聞くと2012年上半期(2012年4〜9月)から10回連続で「ほかにやりたい仕事がある」(12.8%)が1位となった。次いで2位が「会社の将来性が不安」(9.7%)、 3位が「給与に不満がある」(8.0%)と続いた。

 今回の調査結果の特徴は、待遇や就業環境など、“働き方”を改善するために転職活動を始めた人の割合が上昇したことだ。

 トップ10の中では、「給与に不満がある」(前回比0.3ポイント増)、「U・Iターンしたい」(同0.3ポイント増)、「残業が多い/休日が少ない」(同0.2ポイント増)、「土日祝日に休みたい」(同0.1ポイント増)などの割合が増加した。

 現在の状況についてインテリジェンスでは、「求人倍率の高い状態が続いていることに加え、 “働き方”への関心が特に高まった時期であったため、転職理由に働く条件の改善を挙げる人が増えた」と分析している。

 一方、「専門知識・技術を習得したい」(前回比0.5ポイント減)、「幅広い経験・知識を積みたい」(同0.4ポイント減)、「市場価値を上げたい」(同-0.3ポイント減)といった理由で転職活動をする人の割合は減少している。

【転職理由 上位10項目】
1位 ほかにやりたい仕事がある 12.8%
2位 会社の将来が不安 9.7%
3位 給与に不満がある 8.0%
4位 残業が多い/休日が少ない 6.6%
5位 専門知識・技術を習得したい 4.4%
6位 U・Iターンしたい 3.5%
7位 幅広い経験・知識を積みたい 3.0%
8位 雇用形態を変えたい 2.7%
9位 市場価値を上げたい 2.6%
10位 土日祝日に休みたい 2.6% 年代別にみると、20代の転職理由のトップ3は1位「ほかにやりたい仕事がある」(13.7%、前回比0.2ポイント減)、2位が「給与に不満がある」(8.3%、同0.2ポイント増)、3位は「残業が多い/休日が少ない」(7.7%、同0.5ポイント増)となり前回と同じでした。
 特に「残業が多い/休日が少ない」の割合が前回から0.5ポイント増加しており、インテリジェンスでは「勤務時間への不満を理由に転職を考える傾向は高まっている」と分析している。 男女別にみると、「男性」の転職理由は、給与や勤務時間、勤務地など働く条件に関する不満を転職理由に挙げる人の割合が上昇傾向にあり、3位「給与に不満がある」(前回比0.4ポイント増)、 4位「残業が多い/休日が少ない」(同0.2ポイント増)、 6位「U・Iターンしたい」(同0.3ポイント増)を挙げる人は増加した。

 インテリジェンスでは「家事育児へ積極的に参加する人が増えているため、転職する際も職場環境を重視する傾向にあるようだ」と分析している。

 「女性」の転職理由は、結婚や出産などライフイベントを経ても働き続けることを希望する人は増えており、勤務地や就業時間など、数年先を見据えて希望の生活ができる仕事に転職する人が増加傾向にある。

 「家庭環境の変化によるため」は、 2016年5月の調査の際にトップ10に戻ってから2回連続で上昇が続いている。

【男性 転職理由 上位3項目】
1位 ほかにやりたい仕事がある 12.7%(前回比0.2ポイント減)
2位 会社の将来性が不安 11.1%(同0.6ポイント増)
3位 給与に不満がある 8.7%(同0.4ポイント増)

【女性 転職理由 上位3項目】
1位 ほかにやりたい仕事がある 13.2%(前回比増減なし)
2位 残業が多い/休日が少ない 7.2%(同0.2ポイント増)
3位 会社の将来性が不安 5.9%(同0.1ポイント減)

 調査は、2016年10月〜2017年3月、DODAサービスに登録している人のデータ3万5646件を集計した。
※調査結果の「割合」は、小数点第二位を四捨五入している。順位は異なっているものの割合が同じ箇所がある。
※割合の数値は、小数点第二位を四捨五入して記載しているため、今回調査と前回調査の差が前回比の数値と一致しない場合がある。