厚生労働省の2016年賃金構造基本統計調査によると、女性の賃金が過去最高となったことが分かった。男性の賃金は前年と同水準となっており、男女間の賃金格差は過去最小となった。

 厚労省が全国4万9783事業所(常用労働者10人以上)の昨年6月の賃金を集計したところ、一般労働者(短時間労働者除く)の男女計は30万4000円(42.2歳、勤続11.9年)、男性は33万5200円(43.0歳、勤続13.3年)、女性は24万4600円(40.7歳、勤続9.3年)だった。

 前年に比べ男女計と男性は同水準、女性は1.1%増加した。女性は3年連続の増加で、賃金は過去最高となった。

 企業規模別では、男性は、大企業(常用労働者1000人以上)が38万4800円(前年比0.7%減)、中企業(同100〜999人)が32万200円(同増減なし)、小企業(同10〜99人)が29万900円(同0.8%増)、女性では、大企業が26万8700円(同0.1%増)、中企業が24万2300円(同0.8%増)、小企業が21万9100円(同1.2%増)で、男性は小企業が前年を上回り、女性は全ての企業規模において前年を上回った。

 賃金がピークとなる年齢は、男女ともに全ての企業規模において50〜54歳。男性は、大企業で50万2200円、中企業40万6300円、小企業34万200円、女性は、大企業で30万5000円、中企業26万7900円、小企業23万3900円。

 産業別では、男性は、最も高い金融業,保険業(46万6400円)と教育,学習支援業(43万5000円)で40万円を超えた。一方、賃金の低い宿泊業,飲食サービス業(27万1100円)、運輸業,郵便業(28万4500円)、生活関連サービス業,娯楽業(28万8400円)は30万円を下回っている。

 女性は、教育,学習支援業(30万円)と情報通信業(30万4200円)が30万円を超え、宿泊業,飲食サービス業(19万6700円)だけが20万円を下回っている。

 雇用形態別では、男女計は、正社員・正職員32万1700円(41.4歳、勤続12.7年)、正社員・正職員以外21万1800円(46.5歳、勤続7.7年)。正社員・正職員の賃金を100とすると、正社員・正職員以外の賃金は65.8で、賃金格差は過去最小となった。

 賃金格差が大きいのは、企業規模別では大企業で59.4、産業別では卸売業,小売業で60.4となっている。

 男女別に見ると、男性は、正社員・正職員34万9000円(前年比0.2%増)、正社員・正職員以外23万5400円(同2.7%増)、女性は、正社員・正職員26万2000円(同1.0%増)、正社員・正職員以外18万8600円(同4.2%増)となっている。

 正社員・正職員以外は、男女いずれも年齢が高くなっても賃金の上昇がほとんど見られない。