東日本大震災後の6年間で判明した倒産が1951件にのぼっていることが、帝国データバンクの調査で明らかになった。

 東日本大震災による影響を受けたことで倒産した企業(負債1000 万円以上、個人事業主含む)を「東日本大震災関連倒産」と定義して調べたところ、2011年3月から2017年2月末まで6年間で判明した倒産は1951件で、負債総額は1兆6499億1700万円にのぼった。

 震災発生からの経過年数別に見ると、2011年3月から2012年2月までの「1年目」は650件。その後は減少傾向となり、「6年目」では51件と前年比69.8%の大幅減少となっている。

 1995年1月の阪神大震災の影響を受けて倒産した「阪神大震災関連倒産」と比べると、比較可能な発生後3年間の累計で「東日本大震災関連倒産」は1493件、「阪神大震災関連倒産」は394件となり、東日本大震災関連の倒産が約3.8倍にのぼった。

 被害分類別に見ると、建物の損壊や津波による浸水などの「直接的被害」を受けた倒産は6年間累計で193件。一方、「間接的被害」による倒産は1758件となり、全体の約9割を占めた。

 「間接的被害」の内訳は、風評被害や自粛ムードなどの「消費マインドの低下による売り上げ不振」が1102件と56.5%を占め、次いで交通網寸断による出荷・調達難などの「流通の混乱」が123件(6.3%)、工期や納期遅延などによる「生産・販売計画の変更・頓挫」が120件(6.2%)となった。

 業種別に見ると、6年間累計の最多は「サービス業」(430件、22.0%)となった。 以下、「卸売業」の400件(20.5%)、「製造業」の379件(19.4%)と続く。

 経過年数ごとの推移を見ると、「建設業」は1年目に120件を数えたが、復興需要から土木工事や建築工事が増加したことなどを受け、6年目には6件と20分の1にまで減少した。

 業種細分類別での6年間累計を見ると、「ホテル・旅館経営」(120件、6年目は4件)が最多で、突出して多い。

 この理由について帝国データバンクでは「金融機関から返済猶予などの資金繰り支援を受けつつも、宿泊施設・設備の損壊のほか、観光客減少にともなう客室稼働率の低下などが大きく影響し、抜本的な収益改善が見込めず倒産に至ったケースが多く見られた」と分析している。

 次いで、荷動きや取引先減少に見舞われた「道路貨物運送」(50件、6年目は1件)、資材調達難などの影響を受けた「木造建築工事」(48件、6年目は0件)と続いた。

 業種細分類別上位には、食料品や衣料品、レジャー関連など、個人消費に左右される業種のほか、広告制作やソフトウ エア開発などの法人向けサービスが目立った。

 都道府県別では、6年間累計で「東京都」が456件(23.4%)と最多となった。以下、「宮城県」の185件(9.5%)、「茨城県」の109件(5.6%)と続き、島根県を除く46都道府県で震災関連倒産があった。

 地域別では、「東北」(391件、20.0%)と「関東」(920件、47.2%)の2地域で全体の約7割を占めた。