中国自動車市場では近年、中国メーカーが販売台数を伸ばしているものの、品質という点で見た場合は日系車やドイツ車とはまだ大きな差が存在するのが現実だ。一方、中国国内では反日感情や愛国心を背景に、日系車の不買を叫ぶ声が存在するが、中国人消費者が日系車を買わなければ中国車の競争力向上につながるのだろうか。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国自動車市場では近年、中国メーカーが販売台数を伸ばしているものの、品質という点で見た場合は日系車やドイツ車とはまだ大きな差が存在するのが現実だ。一方、中国国内では反日感情や愛国心を背景に、日系車の不買を叫ぶ声が存在するが、中国人消費者が日系車を買わなければ中国車の競争力向上につながるのだろうか。

 中国メディアの汽車之家は12日、中国では「愛国心を示すために日系車を購入しない」といった論調が存在すると紹介する一方、中国車が本当の意味で競争力を高めるために必要なのは日系車の不買運動ではないと指摘する記事を掲載した。

 記事は、中国車の販売が近年増加していると言えども、それは20万元(約330万円)以内のSUV市場で好調であっただけであり、セダンや中・小型車市場での販売は不調だったと指摘し、20万元以内のSUV市場以外では、今なお合弁メーカーが圧倒的な販売シェアを獲得していると指摘した。

 続けて、中国車は今なお日系車やドイツ車にブランド力や安定性などで劣るとし、中国車の強みは「価格競争力とコストパフォーマンス」に過ぎないと指摘。また、中国人消費者は自動車を選ぶにあたって「メンツが立つかどうか」を重視する傾向があることを指摘する一方で、「中国車ではメンツが立たない」と考える消費者は今なお少なくないと論じた。

 さらに、中国車に本質的な競争力がない以上、愛国心を理由に日系車の排斥を行ったところで中国車の販売が伸びるわけではないと指摘。また、消費者が自動車メーカーのブランド力やメンツに左右されず、自動車の技術、製品力を総合的かつ平等に判断できるようになれば、中国メーカーも技術の開発に真剣に取り組むはずだと主張し、中国の消費者にとって求められるのは日系車の排斥ではなく、成熟した消費観念であると伝えている。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)