「べっぴんさん」22話「この時代を生きた人々はみな戦争で人生が大きく変わりました」

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連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第4週「四つ葉のクローバー」第22回 10月27日(木)放送より。 
脚本:渡辺千穂 演出:安達もじり


「期間限定、いまだけの手芸クラブ再結成ね」(君枝/土村芳)

3人が力を合わせて、赤ちゃん用のドレス作りに挑む。三位一体、最強。

君枝がデザイン画を描く。なんだか顔色がよくなったみたい。
こんなデザイン見せられたら・・・と燃える良子(百田夏菜子)。瞳にも力が入って、パターンを引く。そのとき、彼女の部屋にはかすかに火が燃えている(火鉢?)。左利きの百田が良子のときは右利きにしているそう。大変だ〜。

バトンを繋いでいくように、最終ランナーはすみれ(芳根京子)。ジョキジョキとハサミを使ってドレスを裁断していく。
そして三人で縫う。
「楽しいなあ」と笑顔になって、「もし戦争がなかったらどうなっていたんやろうね」とあり得たかもしれない自分を想像する。
情熱的な恋愛したかった良子。美術の勉強したかった君枝・・・、こんなこと(仲間とのものづくりであろう)したかったのかもと言うすみれ。

「この時代を生きた人々はみな戦争で人生が大きく変わりました。だからこそ、
だからこそ未来を切り開こうとする力が生まれたのです。良いほうに良いほうにと願っているのです」
(語り/菅野美穂)

良いほうに向かう象徴が赤ちゃんの天使のドレス。それはありとあらゆる光を集めて輝いていた。
いや〜、良い朝でしたね。

だが光あるところ影あり。
大阪の闇市周辺は不穏で、団時朗演じる帰ってきたウルトラマンではない元締めが何かを企んでいる様子。
ハーモニカ吹く傷痍軍人がアップになったり、托鉢僧のお経が耳に残ったり、やたら喧嘩シーンがでてきたり、トーンがシリアスで、朝ドラらしからぬエグいことが起こってしまったらどうしようかと気が気でない。ゆり(蓮佛美沙子)と英輔(松下優也)が無事でありますように。

英輔が、すみれと紀夫の夫婦関係を「愛とか恋とかやないんやな」と気にしていたら、兄貴こと潔(高良健吾)が帰って来て、ゆりがどきり。ほら、この夫婦のはじまりも「愛とか恋とか」って感じではなく同志的なつながりだったから、そのつながりの不確かさが彼女を悩ませているのだろう。せっかく和歌山から、彼女の好きな梅干しをもらってきてくれたのにそっけなくして、潔がしょんぼり。このすれ違いがもどかしい。
でも、ゆりの、従来の男女関係ではないものを求めながら揺れる繊細な気持ちは今後もぜひ掘り下げていってほしい。
(木俣冬)