うにのベストシーズンは夏だというのはご存じだろうか?その、今だけの美味しさを思いきり堪能したい!

極上の生うにを、惜しみなく4〜5種類も握りで提供してくれる、うに好き必見の寿司店があるのだ。
この贅沢、なんとしてでも体験すべし!



左から北海道天売島産バフンウニ、福岡産赤ウニ、利尻島産ムラサキウニ、唐津産赤ウニ、熊本産赤ウニ。壮観の光景!
うに好きが押し寄せる実力派寿司店を中目黒に発見!

極上のうにを、数種類食べ比べる…そんな夢のような寿司店が、中目黒にある。グルメの間ではつとに知られる名店『鮨 尚充(たかみつ)』だ。明るい笑顔で出迎えてくれたのは、ねじり鉢巻き姿が粋な店主の安田尚充氏。

入荷しているうにを聞くと、最高級天売島産バフンウニ(巨大!)をはじめ、北海道産から九州産までがずらり8種も登場!

「ちょっとしたうにパーティですね(笑)。仕入れのときいいものを見つけると、どうしても買ってしまう性分で…気付いたらこんなに」と安田氏が笑う。



つまみには、北海道余市産のバフンウニと福岡産の赤ウニの2種が登場。手前はとろけるような食感の宍道湖産天然ウナギ

こちらの店の「おまかせ」コースは、握りとつまみが交互に登場するスタイルだ。普段からうには握りとつまみ、それぞれ2種ずつ登場するという。それだけですでに4種が味わえる!。

だが、安田氏曰く「リクエストすればもっと出てきますよ(笑)」。というわけで、この日は握り5種を贅沢にも並べてもらった。



大きさも味わいもさまざま。中央右の天売島産のうには、もはや専用の白木の箱(安田氏曰く“うにの部屋”)に収まらない大きさ
原価率が心配になるほど極上ネタが次々! 予約困難なのも納得

握りを頬張る。…言葉が出ないとはこのこと。とろける食感とともに、濃厚な磯の香りと甘みが口の中に押し寄せる。

臭みは一切ない。これ、相当にいいネタなのでは…。「正直、うにの仕入れ額は半端ないです。1箱5万円とかするものもありますから」。

聞けばこのうに握り、単品注文すれば1貫1,500円超え。しかし「おまかせ」コース17,000円なら、握りとつまみ全30品ほどが登場する中で、うにが数種類食べ比べられるのだ。

その品数にも驚くが、これほどのネタを次々と惜しみなく出してくれるコストパフォーマンスにも衝撃!



軽妙なトークで盛り上げる安田氏。そのキャラクターに魅せられ、店に通う人も多い。「おまかせ」でも、内容は相談に応じてくれる

今や1ヵ月先まで予約が取れない人気店だが、先の予定まで調整して行くべき価値は大アリ。

座席は1日2回転させるため、2回転目である9時以降は比較的予約が取りやすいとか。また当日キャンセルも狙い目との情報を、安田氏より引き出したことをご報告しよう。


いざ! 他店では不可能なうにの食べ比べ、そのお味は?



ほれぼれするくらい美しい佇まい。表面の粒がひとつひとつしっかりと際立つ様子に、質のよさが伝わってくる
いざ! 他店ではできない豪華うにの食べ比べ、そのお味は?

さて、早速気になる食べ比べだ。この日の中で、もっとも手に入りづらい希少な天売島産のものは、バフンウニ。強い甘み、ほどよいコクとあっさりとした後味が特徴だ。

鮮やかなオレンジ色が食欲をそそるムラサキウニは、クリーミーで磯の香りが豊か。九州西岸産の希少な赤ウニは、小ぶりな見た目に反して濃厚な味わい。

さらに同じ品種のうにでも、産地によっておもしろいほど味が違う。「さすがに冬場は北海道産しか手に入らなくなります」と安田氏。

これだけのバリエーションが味わえるのも、旬の今ならでは。そして、この店だからこそ可能といえるだろう。



左からうにを乗せたアラ(スズキの仲間)、新子、大間産大トロ、真イカ、対馬産穴子。ほどよい大きさのシャリが口の中でぱらりと解ける
うにだけじゃない! 次々現れる極上ネタの数々に舌鼓!

前述した通り、30品ほどが提供される「おまかせ」コース。もちろん、うに以外の握りやつまみも絶品だ。

この日は、ざっと書くだけでもカレイ、牡蠣、タコ、金目鯛、イカ、新子、白子、ゲソ、イシガキ貝、小柱、アワビ、大トロ、車エビ、サワラ、アジ、ノドグロ、穴子…といった塩梅。まさにオールスターメンツ!

「いぶりがっこマスカルポーネ」など、酒が進むつまみも秀逸。自身が無類のシャンパン好きという安田氏だけに、寿司店ながらシャンパンは8種を揃えるが、もちろん日本酒も豊富だ。



熊本産新子。この日は3枚付けだったが、シーズン初頭はなんと10枚付けで握るという。新子シーズンも見逃せない!

握りとつまみを交互に提供するスタイルの理由は、握りは提供したらすぐに食べてほしい、でも酒もきちんと楽しんでほしいという思いから。

これがまた、ゆっくりと飲みながらくつろぎたい向きに好評。再訪したくなる理由は、こんなところにもあるのだろう。


ふわりと溶ける、脂の乗った対馬産穴子は悶絶級!



口の中でふわりと溶ける、脂の乗った対馬産穴子。その日の状態を見て、秒単位で炊く時間を調整する。この日はきっかり22分
シャリに仕入れ…妥協を許さない食材選びが光る

オープンして6年目を迎える『鮨 尚充』。当初、“すべてにおいて妥協しない店に”と誓ったという安田氏だが、現在「100%それができていると思います」と自信を漲らせる。

ネタがよければ、高額な仕入れ額は気にしない。魚介全般を担当する仲買人のほかに、うに、マグロ、アワビ、マグロは専門の仲買人と日々やり取りし、常に一番いい状態のものを仕入れるという。



清潔感のある白木のカウンター席は、連日満員御礼。ドラマチックに活けられた枝ものも、安田氏の手によるアレンジだ

握りのシャリにはコシヒカリ、ミルキークイーン、愛知県産の龍のひとみという3種の米を独自にブレンドし、硬さ、甘み、粘りの黄金バランスを実現。さらに寿司酢には赤酢2種と米酢1種を混ぜ、酸味とコクが程よく引き立つ味わいに仕上げた。

口に入れると同時にネタと混然一体となって解けるシャリの旨さは、安田氏の長年の研究の賜物だ。



安田氏(左)とともに開店時から店を切り盛りするのは、亀川ジュン氏(中央)と毛利太祐氏(右)。休日も一緒に遊びに行く仲
帰る頃にはみな笑顔に。店主の人柄もまた、癖になる味わい深さ

寿司の素晴らしさはもちろん、忘れてはいけないのが安田氏の人柄だ。取材時にしていたトレードマークのねじり鉢巻きは、なんとレインボーカラー。人懐っこい笑顔とテンポのいいトークで、カウンターの空気を心地よくリードする。

10代でこの道へ入り、自由が丘の名店『鮨幸』で15年経験を積んだ。修行先で学んだ一番のことは、続けることの大切さだと言い切る。初志貫徹、我が道を行くスタイルは、ときにコミカルさが覗く営業中の表情とは一線を画す、安田氏の硬派な素顔だ。



大通りから1本細い路地を入った、看板のない隠れ家的寿司店。近々ランチ営業もスタート予定。当面はディナーと同じ内容だそう

目下の息抜きはサーフィンというが、「サーフィンをすると、仕入れが適格になるんですよ。波の状態を見れば、数日間の魚の獲れ高が分かりますから」。

結局はすべて、寿司に繋がってしまう。そんな人間的な魅力もまた、多くの人を引き付けるのだ。



【アンケートを実施中!】

■「教えて下さい、あなたのひと夏の恋愛事情!」回答はこちら
(募集期間:2016.8.26〜2016.9.9)