「かわいくて応援したくなる」!? 話題の西武・台湾人通訳に直撃
台湾人3選手の通訳を務める台湾出身・袁嘉迪氏
4月24日、西武プリンスドームで「台湾デー」が開催された。その日の試合前、台湾と日本のプロ野球の違いについて郭俊麟投手、C.C.リー投手に話を聞いた時、通訳をしてくれたのがライオンズで台湾人選手の通訳を務める台湾台中出身の袁嘉迪さんだ。
親しみやすい人柄がとても印象的で、和やかな雰囲気で取材をすることができた。そんな袁さんの人柄は、郭俊麟投手のヒーローインタビューの際にファンにも伝わったようで、ネット上で「かわいくて応援したくなる」と話題になった。しかし「西武ライオンズの通訳さん」というだけで、その名前もあまり知られていない。そこで、袁さんに日本語に興味を持った理由や、ライオンズの通訳になったきっかけをなど話を聞いた。
――いつからライオンズの通訳を務めているのでしょうか?
「2015年からです。郭俊麟投手の担当でライオンズに来ました」
――台湾ではどんな仕事をしていたのですか?
「2004年に台湾のプロ野球チームで広報の仕事を始めました。2006年に英語の通訳になり、チームでは広報兼通訳として働いていました」
――ライオンズ通訳になったきっかけは?
「台湾で知人にオファーをいただきました」
なぜ日本に興味を持ったのか
――なぜ日本に興味があったのでしょうか?
「両親が日本企業で働いていました。家でも日本語の単語をよく使っていたので、親しみがありました。2007年に台湾での仕事を辞め、日本に来日して半年間日本語学校に通いました。今でも日々の会話の中で勉強中です」
――日本語の難しいところは?
「動詞の変化と敬語です。中国語は敬語がありません。英語もあまり敬語がないので、日本語は難しいですね」
――通訳をするうえで気を付けていることは何ですか?
「コーチ、選手が言うことを訳すのではなく、その時の状況を判断し、言葉遣いを選んで訳しています。この仕事で大切なことは、日本語を話せるかが1番ではなくて、野球を知っているかどうかが1番だと思います。野球を知らないとできない仕事だと思います」
――選手とのコミュニケーションで気を付けていることは?
「ピッチャーは打たれたら、コーチから今日の反省点について話があります。その場の状況に応じて、本人が落ち着いてから詳しく伝えています」
通訳をやっていて良かったこと、「テレビゲームの中で遊んでいた人と…」
――袁さんが感じる日本と台湾の野球の違いは?
「日本の野球は、1点を取りに行く緻密なプレーが多いですね。台湾の野球はここ数年、アメリカの野球の影響を受け、力勝負になっている傾向があります。日本の野球にも力勝負のところもありますが、細かい作戦、プレーは世界一だと思います。応援もだいぶ違いますよ。台湾の応援は賑やかです。ベンチの真上でやっています。熱いファンが多いので、盛り上がりますね」
――通訳をやっていてよかったことは?
「憧れの人と日々生活していることです。それを最初に感じたのは、台湾プロ野球の仕事をしているとき、高津臣吾さんを担当した時です。台湾の空港へ迎えに行き、入団会見にも同席しました。子どもの頃、テレビゲームの中で遊んでいた人と一緒に生活している。不思議な気持ちでした」
――今後の夢は何ですか?
「野球がやりたいです。キャッチャー、ファーストをやっていたのですが、打てないし走れないから、試合に出たことはなく、ベンチ担当でした(笑)。ベンチの前で素振りをやって、相手チームに『代打が出るかも』と思わせていました」
篠崎有理枝●文 text by Yurie Shinozaki