西武・菊池雄星【写真:編集部】

写真拡大

34年ぶり2年連続Bクラスの雪辱期す西武、今年も『鍵』は7年目左腕

 早くも2016シーズンへ向けたキャンプインを迎えた西武。34年ぶりとなる2年連続Bクラスの雪辱を果たすために、田辺徳雄監督が『鍵』に挙げるのは、昨季に続き菊池雄星だ。

 昨年のこの時期も、「優勝できるかは雄星次第。エースの岸が表のカード頭、雄星は裏の頭になってくれれば」と、大きな期待を寄せていた。しかし、ケガもあり、キャンプでの調整が遅れ、開幕に間に合わず。鍵どころか、ローテーション投手として計算できるまでに1か月の遅れをとってしまった。

 それでも、復帰後は頭角を現し、勝ち星を積んでいった。7月、チームの13連敗の中で自身3連敗を喫したが、最終的には自己最多タイの9勝をマーク。先発陣の中でクオリティスタート率(先発投手が6回を自責点3以内に抑えること、71.4%)、防御率(2.84)ともトップの成績を収めた。「ある一定の手応えのようなものを、本人が一番感じていると思う。昨シーズンで土台が出来上がったことは、雄星にとっては非常に大きい」と、土肥義弘投手コーチも確実な成長を認める。

課題は「しっかりクリア出来ている」、キーパーソン指名に「今年こそ応えたい」

 これまでは、人一倍の向上心から、ベストな状態であっても、更なる良化を求めて変えてしまった結果、逆に崩れてしまうという失敗が少なくなかった。しかし、14年秋季キャンプから土肥コーチとメカニックの部分から様々な議論、対話を繰り返し、ベストなフォームにようやく辿り着きつつある。今オフ、同コーチは「大きく変えずに、同じようにやることを課題にしてやってきてくれ」の一点を、左腕に課した。

 当の菊池は、その課題を「しっかりクリアできています」と言い、充実感に満ちた笑顔を見せる。そして、「投手目線の“良い球”と、打者の嫌がる球は違うので、打者に対して投げてみないと実際はわからないですが」と、前置きしつつも、はっきりと口にした。

「今年は今までで一番良いですね」

 監督からキーパーソンだとされていることを知ると、表情は一気に引き締まる。

「毎年毎年言われているので、今年こそ応えたい。僕ももう7年目。後輩もどんどん増えているので、チャンスは少ないものだと思ってやらないと」

 未完の大器がついに本格覚醒を果たすか。手応えと自信、不安と危機感。さまざまな思いを胸に、2016シーズンをスタートさせた。

上岡真里江●文 text by Marie Kamioka