女性か男性、どっちが生きづらい? 調査では「男の苦しさは理解が少ない」との声も
何気ない会話の中で、「もし生まれ変わるとしたら男性か女性、どっちがいい?」と話した経験は、きっと誰にでもあるはずです。体の構造や精神面での違い、服装や振る舞いをはじめとする社会的な性役割など、あらゆる点で異なる男と女ですが、「生きづらさ」では男性と女性、どちらが大変なのでしょうか。女性向けメディア、ウートピでは読者の大半が女性ですが、アンケートをとってみると、意外にも「男性」の回答が半数を超える結果となりました。
【アンケート】いまの世の中、男性と女性ではどちらの方が生きづらいと思う?
※サンプル数:506人(12月25日現在)
※ウートピ世論調査結果より
<アンケート結果>
「男性」・・・・・53%
「女性」・・・・・47%
※回答はわかりやすいよう一部表記を変更しています
■「自殺者の7割が男性」が示す生きづらさの正体
アンケートでは53%が、「男性の方が生きづらいと思う」と回答しました。
・男としてのプレッシャーもキツいけど、それ以前に男性の弱音を許さないという社会の風潮の方が辛いかも
・私自身は女ですが、フリーターの友人(♂)の話なんか聞いてると男性は本当に大変だろうなと思います。まともな職と稼ぎがなければ嫁も来ない、となげく友人が不憫で…男性はそういう責任云々が常についてまわるので、このご時世は生きづらいだろうなと
・女性蔑視があるのは判るけど、それは裏を返せば「男は多く稼いで家族を養うもの」という価値観とセットなわけで、そういう社会的圧力の中、稼げない男(自分)は存在そのものを否定されているようで、実に苦しい。女性が楽だとも思わないが、そういう男の苦しさは理解が少ない気がする
「家族を養うのは男の役目」「男は経済力があって当然」など、社会に漂う性役割意識に、男性も制約を受けています。
・自殺者の約7割は男性だし、幸福度も女性に比べ男性は低い
と指摘する声のとおり、厚生労働省の「自殺統計」をみると自殺者の男女割合は、過去60年間ずっと男性の方が多く、平成26年では男性が1万7,386人、女性が8,041人とその差は2倍以上となっています。もしかすると、男性に向けられた社会的重圧が自殺者数を押し上げている、そんな一面もあるのかもしれません(参考:「内閣府 平成27年版自殺対策白書」)。
■性犯罪の被害者になっても男性だと相手にされない
また、性犯罪・性暴力被害者であるにもかかわらず、「男だから」という理由だけで何の援助も受けられない現状を訴える声もありました。
・自分は小学生のころ、とあるショッピングモールの2楷トイレで誘拐されそうになったけど通ってた小学校の先生に言っても「それで?なに?」みたいな対応をされた。女子生徒だったらすぐに不審者情報を出すくせに、情報どころか市への報告もされなかった
・痴漢の被害者です。でも、「男」という性だけで、痴漢対策であるはずの女性専用車に乗れません
性犯罪・性暴力の被害に遭うのは女性だけ、という偏った意識が、男性被害者を二重に苦しめています。
■一方、女性の生きづらさは?
一方、女性の方も、さまざまな生きづらさを抱えています。
・女は30すぎて独身だと色々言われる。人間の価値ってそこじゃないでしょ?
・生理がないだけでも絶対男が得。望まない妊娠をするリスクもないし、子供がほしい人は気持ちいいことするだけで不自由な思いも痛みも感じずに我が子を抱ける。容姿や年齢で差別されたり行動が制限されたりするし、女でいいことなんてほとんどない
女性の場合、見た目の良さや若さなどで評価されたり、控えめでおしとやかな振る舞いを求められたりすることがあります。家制度や男女同権が認められなかった時代から続く女性差別は、未だに社会の中から消えません。女性の社会的性役割として「家事・育児は女の仕事」とする風潮も強くあり、さらに、ここに女性活躍を促進する国の政策も加わって、今、家庭と仕事の両方に追われる女性たちが増えています。
・女性の方やることが多すぎる。仕事して家庭があり、子供がいる場合、仕事&家事育児&近所付き合い。同居してる場合なら、爺婆の面倒も見なきゃならない。男性は生活費の為仕事しなきゃとは言うがそれ以外は全然やらない。不公平だ
・キャリア形成における社会的ハンディキャップは女性が食らう羽目になってる。子供生まない結婚しない女性がキャリアを積み上げていく土台めっちゃ少ない
・私の周りはフルタイムで働きながら9割以上の家事育児をこなしてるママばっかりです。冗談じゃなく女は母親になると睡眠時間削ってアリのように働かなきゃならない。何がイクメンブームだと言いたくなる
男性差別、女性差別は、表裏一体。男らしさや女らしさを決めつけるジェンダー意識や、「男は稼いで女は家庭を守る」といった社会的性役割について考えていくことが、男女両方の生きづらさ解消に結びつくヒントになるのではないでしょうか。
(内野チエ)