5月に行われた初公判での宮内亮治被告。(イラスト:News GyaO/遠崎高平)

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証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載など)の罪に問われている宮内亮治被告(38)らライブドア(LD)元幹部4人の公判が11日、東京地裁(小坂敏幸裁判長)で開かれた。「短期間で世界一の企業になりたい」とLD元社長の堀江貴文被告(33)が強い意志を示す中、宮内被告はプレッシャーを感じて「目先の数字にとらわれ過ぎていた」と反省の弁を口にした。

 この日は、宮内被告に対する被告人質問が行われた。起訴された同社元幹部が法廷で供述するのは初めて。

 宮内被告は「堀江はとにかく急激に日本一、世界一になろうとする気持ちが強かった」と証言。業務拡大しながら利益を上げることに適していた企業買収に力を入れたが、投資をしながら利益を出す難しさを堀江被告に説明すると、「難しいけれども、あえてチャレンジしていこう」と言われたという。企業買収について、実務は宮内被告が担当したが、方向性は堀江被告の意向が強く反映されていたことも明らかにした。

 家族や会社について話が及ぶと、「苦労をかけているんじゃないかと思うと、申し訳ない気持ち」と涙を流す場面もあった。弁護人から「(違法行為を犯したのは)数字に対する他の人たちへの堀江のプレッシャーを見かねたというのもあるんですよね。でも、それは理由になりませんよね」と問われると、宮内被告は「はい」と小さくうなずいた。


自社株売却益の売り上げ計上「会計士から指摘あった」

 公判では、クラサワコミュニケーションズの買収に絡んだ自社株売却益の売り上げ計上について、宮内被告は「会計士から『まずいと思うんですよ』と言われた」と証言。それに対して、宮内被告は「ファンド(投資事業組合)を通しているので大丈夫」と答えたと話した。

 併せて実施されたLD株の100分割については、「LDが法人から個人を対象に事業を変更していく時期だったので、株主の増大が目的だった。前例がなかったので、株価下落の心配もした」と供述。ファンドについては「独立した事業主体」だとして、ダミーであることを否定した。

 ロイヤル信販など2社に対する架空売り上げ計上に関しては、実体のともなわない取引だったことを認め、堀江被告も「『やりきるしかない』と答えた」と了承していたと話した。

 宮内被告は、風説の流布と偽計取引の舞台となったとされる出版社「マネーライフ」の買収理由について「LDにとって必要だったからではなく、ライブドアファイナンスとして企業再生を手がけてみようとした」と述べ、転売目的だったと説明。ファンドを通じた買収の仕組み自体が利益を上げるためのものだったかについては、「違います、違います」と強く否定した。【了】

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