“3大予備校”の一角として一世を風靡した『代々木ゼミナール』の20校舎一斉閉鎖という事態は、予備校業界に激震を走らせた。
 しかし、代ゼミがすぐに倒産するかといえば、その可能性はそれほど高くはない。「経営体力があるうちに生き残りを懸けて事業の集約に踏み切った」(関係者)というのが大方の見方なのだ。

 実は代ゼミよりも本当に“ヤバい”予備校がある。それは、関東を中心に展開している『市進予備校』だ。
 市進予備校を運営するのはジャスダック上場の市進ホールディングス('14年2月期売上約178億円)。大学受験生向けの『市進予備校』(17拠点)の他、主に小学生から高校生向けの学習塾『市進学院』(122拠点)、個別指導型学習塾『個太郎塾』(256拠点)などを運営し、在籍生徒数は約4万8000名にも達する('14年2月現在)。代ゼミのように全国展開はしていないが、関東圏であれば知らない高校生はいないだろう。

 その市進が、今年6月から7月にかけて複数の取引先に対する支払いがストップするなど危機的な状況に陥っている。決算が'12年2月期以降3期連続で最終赤字。'13年2月期の赤字額は15億7700万円にも上っている。
 学研ホールディングスに増資を引き受けてもらったり、希望退職を募り大幅なリストラを実行し従業員のスリム化を図る他、取引先に対し支払いサイトの延長を交渉して状況を打破しようとしているが、先行きは極めて不透明と言わざるを得ない。

 資金繰りが厳しくなっているため、代ゼミのように売上減少(キャッシュ減少)を伴う経営再建はできない。生徒数が増えることを期待するしかないが、少子化に一層拍車が掛かる中で市進予備校の生徒だけ増えるというのは現実的ではない。
 「民事再生法による法的整理もあり得ます」(信用調査会社)

 およそ5万人近くいる生徒に悪影響が出ないことを祈るばかりだ。