ガラパゴスの逆襲!日本頼りの世界のスマホ、新興メーカーがソニーやシャープ部品を次々採用

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今やスマホのカメラ画質はコンデジにひけをとらないほどの高画質化が進んでいる。撮影した写真もわざわざ印刷しなくても、高解像度のスマホ画面で細かい部分まで美しく表示される。

このようにスマホが専用機器に肩を並べられるのも、カメラモジュールやディスプレイなどのパーツが高性能化した結果だ。パーツの高性能化は、スマホに部品を供給する部品メーカー間の競争を激しくする効果も生み、より高性能名パーツがスマホに搭載される好循環にもなっている。

最近アジアなどでは、こうしたスマホやタブレットに搭載されている日本メーカー製のパーツが一般消費者にも認知されるようになってきている。その代表格が、ソニーのカメラやシャープのディスプレイだ。

●スマホの中身(パーツ)では、世界をリードする日本
これまでもスマホには日本製の部品が多数使われてきた。だがそれはメモリだったり、通信系の部品だったりと、どちらかといえば裏方に徹したパーツだった。当然、消費者がそれを知ることも無かった。

ところが最近頭角を現してきた新興のスマホメーカー各社は、自社の広告に堂々と日本メーカーの部品名を出しはじめているのだ。そして、それが製品のブランド力アップに繋がっている。


iPhoneより美しいディスプレイを謳うシャオミ。そのディスプレイはシャープまたはJDI製。「夏普」は中国語でシャープの意味


たとえば7月22日に「Mi4」を発表したシャオミは、中国を拠点とする新興メーカーだ。大手メーカーと同等スペックながら価格は半分と抜群のコストパフォーマンスを誇るスマホを次々と販売している。なんと、すでに中国での販売数はiPhoneを抜き去っているほどだ。現在はまだアジアやインドなど販売先は限られているが、いずれ欧米など先進国市場にも製品を販売すると見られている。

そのMi4のWEBページを見てみると、そこには「ソニー製のカメラ」「シャープ・JDIのディスプレイ」といった表記が目立つ。JDIとはジャパンディスプレイで、もちろん日本のメーカーだ。

Mi4のカメラは1300万画素のソニー製のモジュールだが、まだ他社がほとんど採用していない最新のものを搭載しているという。レンズの明るさはF1.8と非常に明るく、暗闇での撮影にも強い。またオートフォーカスも0.3秒と高速なピント合わせが可能だ。そしてディスプレイの表示能力はiPhone 5sより17%も高く、これもシャープやJDIのものを使っていることを積極的にアピールしている。


新興メーカーはソニー製カメラモジュール搭載を大きくアピール


シャオミのようにここ数年の間に出てきた新興メーカーは、スマホの部品を他社のパーツに頼っている。そして先行する大手メーカーに勝つために、多少無理をしてでも大手有名メーカーの高性能な部品を採用するのだ。

その中でもソニーのカメラモジュールの人気は高く、多くのメーカーに採用されている。聞いたことも無いような新興メーカーのスマホが「1300万画素」を謳うカメラを搭載していてもその画質に心配する必要はない。なぜならそれはほぼ間違いなくソニー製のカメラを搭載しているからだ。

このように多くの新興メーカーは、日本のメーカー名を借りて高品質をアピールしているわけだ。結果として、日本の最高級な部品が新興メーカーのスマホ性能を向上させ、一部の市場とはいえiPhoneなどにも対抗できるほどになっている。

「ガラパゴス」などと揶揄されてきた日本のスマホ業界。だが今や世界のスマホ業界にとって、ガラパゴスと言われた日本で生み出されたスマホ用パーツが、世界のスマホにとって無くてはならない存在になっているのだ。

今後、世界のスマホの高性能化の鍵の一つは、確実に日本のメーカーが握っていると言っても過言ではないだろう。


山根康宏