【米国はこう見ている】故障者続出の名門で高まるイチロー、黒田博樹、田中将大への期待 「ヤンキースは日本人トリオの貢献に依存」
ヤンキースの中で重要性が高まっている日本人トリオ
故障者続出のヤンキースでイチロー外野手、黒田博樹投手、田中将大投手の日本人トリオの重要性がこれまでにないほど高まっているとMLB公式サイトが伝えている。「ヤンキースは日本人トリオの貢献に依存する」と大見出しで報じた。
「日本プロ野球機構からの代表団はヤンキースのラインナップに気品を与え続けている。そして今、ヤンキースは彼らの存在をこれまでにないほどに切望している」
特集記事ではピンストライプの名門における日本人3選手の重要性の高まりを指摘している。
黒田は現地時間18日のパイレーツとのダブルヘッダー1戦目で4-3勝利に貢献し、勝利投手になった。田中は20日のカブス戦で神懸かり的な連勝記録更新を狙うことになる。そして、一時、腰痛で戦線を離脱していた40歳のイチローもパイレーツとのダブルヘッダー2戦目に先発し、1安打を記録。メジャー3000本安打を視野に入れ、現在は2763安打まで積み上げている。
「このトリオは将来確実に殿堂入りする名手、史上最も激しい争奪戦を展開された日本人右腕、そして、ドジャースとヤンキースで通算7シーズンで71勝を挙げているベテラン右腕だ。この関係性が25歳の田中のヤンキースにおける最強のサポートシステムを作り出している」と記事では紹介している。
田中自身も「日本野球史に残る2人の最高の選手が近くにいるので大きな助けになっています。彼らの存在は自分にとってもものすごく大きい」と通訳を介して語り、感謝しているという。
イチロー、黒田、田中のコミュニケーション
3人はそれぞれ別の通訳と行動をともにしており、クラブハウスではあまり交流する場面は見られないというが、黒田は「先発ピッチャーはみんなダグアウトで長い時間を話したりしながら過ごしています」と通訳を介して、田中とのコミュニケーションについて語っている。
イチローとの関係性について、黒田は「もしもベンチで話せる状況なら、色々と違うことを話します。僕は特別な状況下でのバッターの心理について質問しています。個人的にはものすごく勉強になります」とも話している。
一方、イチローは日本人トリオについての交流はそこまで多くないとしており、もし同じ野手であれば状況は違っていかもしれないと説明しているという。記事ではイチローの現状についても触れている。
「イチローは自分のことに集中している。(腰の)ケガに苦しむ前、年俸が高く、ビッグネーム揃いの外野手のロスターの中で、今季プレー時間が限定されていた。打率は3割5分6厘だが、打席数はわずか59。ヒットは21本。このペースでは40代半ばまでプレーしなければ3000本安打に到達しない。そして、彼は40歳だ」
そのイチローとポジションを争っている今季FAで加入したカルロス・ベルトラン外野手は右肘の骨棘障害で故障者リスト入りした。20日にアリゾナ州のスポーツ医学の権威、ジェームス・アンドリュー医師のセカンドオピニオンを経て、手術に踏み切るかどうか決断する予定だという。手術となれば、2カ月は戦線離脱することになり、そうなればイチローは十分なプレー時間を手にすることができるかもしれない。
ヤンキースに頼れる先発は黒田と田中しかいない
ジョー・ジラルディ監督はイチローについて、「我々は1日毎に彼の様子を見ていく。彼が起きた時に問題ないと感じてくれることを願っている。彼は腰痛を持病としていないはずだが、一度発症した場合、しばらくは経過を観察しなければいけない。火曜日(20日)の状態を見極めたい」とコメントしており、鉄人イチローには珍しい故障について、慎重に見守る姿勢を示している。
イチローはパイレーツ戦後に通訳を介して、「今日はプレーするのに十分な状態だった。ということは火曜日も十分な状態でなければいけないということ」と冷静に語っていたという。
ヤンキースは野手だけでなく、投手にも負傷者が出ている。マイケル・ピネダ、CC・サバシア、イバン・ノバという先発ローテーションの3人が離脱している。
この状況下でヤンキースに頼れる先発は黒田と田中しかいない。ジラルディ監督は「彼らが最終防衛戦線だ。彼らはある意味、ベテランのグループに属する。田中はここではルーキーだが、先発として実績を持っているし、何をすべきか理解している。黒田のパフォーマンスには心から喜んでいる。我々は序盤に4点先制して、それで持ちこたえてくれたのだから」と話しているという。
昨年のプレーオフ進出を逃した屈辱を晴らしたい名門は故障者の影響により、苦しんでいる。その苦境において日本人トリオが輝きを放つことを、地元ファンも心待ちにしているに違いない。