平均年収ランキング(1〜20位)

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母校の先輩、後輩の仕事ぶりが一目瞭然! 高収入を貰っている大学ベスト40はこれだ。

調査概要/大学別の就職先データは大学通信、「大学別就職先しらべ」(リクルート)を利用した。平均年収は厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2011年)を用いて算出した。

■東京外大、ICUの平均年収が高い理由

11年3月には、東日本大震災が発生し、メーカーや小売業界などでは業績が悪化し、新卒の採用者数を減らす企業が現れた。

企業人事に詳しい日本総合研究所の寺崎文勝氏(87年、早稲田大学第一文学部卒)は、「景気の動向に必要以上に翻弄されるならば、新卒採用のあり方に問題があるのかもしれないが、それぞれの時代背景にも目を向けるべき」と説く。

「その時点での日本経済の成長を踏まえて検証することが大切。世代間の不公平感だけで見ると、実態や真相には迫れない」

図を見ると、豊橋技術科学大学が初めてランクインとなった。今後は、こういう新顔が増えてくるのかもしれない。

00年代後半から10年以降は、中学校や高校、大学などで学ぶ「キャリア教育」の効果が表れ始めている。職業的に自立できる人材を育成しようというものである。特に中学や高校では、職業について考える機会が他の先進国と比べて少ないと以前から指摘を受けてきた。

東海大学政治経済学部2年の佐野貴氏は、今年の春から人材育成会社・新規開拓でインターンシップ生として働く。同社代表の朝倉千恵子氏の著書や講演を見聞きし、会社の経営や仕事への姿勢を学びたいと思い、エントリーした。

現在は自宅から1時間半かけて週2〜3日ほど通勤し、主に営業のサポート業務を行う。その傍ら、講演やセミナーの運営も手伝う。いつかは会社を経営したい、という思いを打ち明ける。

「中高校のとき、いじめが盛んだった。そのことに疑問や怒りを覚えた。いじめを受け、委縮し、自信をなくす学生がいた。トータルビューティサロンの会社を興し、心のあり方など内面的なものに自信を持つことができる支援をしたい」

今後、就職活動をするが、進むべき業界や企業はまだ決めていない。インターンシップなどを通して企業社会を幅広く知り、自分が貢献できうる職場を見つけたいという。

寺崎氏は、「選ばれる大学の多様化」が今後の学歴と採用のあり方を変えると見る。

「東京外大やICU出身者の平均収入が高いのは語学力が高いことが理由の1つにある。そのスペックは日本企業が今、社員に求めるものと合致している。学生に海外留学を義務づけている国際教養大(秋田県)の卒業者の評価は今後、高くなるだろう。

東大をはじめ、旧帝大卒業者の能力と企業の求めるスペックが今後もマッチするかはわからない。早慶の場合、難易度は高いが、平均年収では卒業者数が少ないICUよりも低いのかもしれない。マス大学であれば、優秀な人もいればそうでない人もいる。採用試験のときはともかく、入社後は学歴と人事の評価や収入とが比例することは少ない。今後、その傾向は強くなるのではないか」

大学進学率は、11年には51.0%と過去最高の水準となった。大卒の就職者が多数を占める職場では80年代頃のホワイトカラーとブルーカラーの区別は最早ない。正社員や管理職の数は減り、生涯、非管理職や部下を持てない社員が増えてくる。能力や適性、実績に応じた正社員のグループ分けは一層進む。このような状況下での「選ばれる大学の多様化」は競争の激化を意味し、学歴の評価を新たなものにしていくに違いない。

(ジャーナリスト 吉田典史=文)