「Beat By Dr. Dre」のヘッドフォンを企画し、事業を大成功させて大金持ちになったラッパーのDr. ドレ(Andre “Dr. Dre” Young)とジミー・アイオヴィン(Jimmy Iovine; インタースコープ・ゲフィン・A&Mレコード会長、「アメリカンアイドル」のメンターとして米お茶の間でも有名)の二人が、このほど南カリフォルニア大学(USC)に7000万ドルを寄付し、テクノロジー&メディア関係の起業家育成をはじめさせることになったという。

2人の寄付で新設されるのは、「U.S.C. Jimmy Iovine and Andre Young Academy for Arts, Technology and the Business of Innovation」という四年制のプログラム(学部)。その名前の通り、イノベーションを生み出し、事業として成功させるのに必要なアート、テクノロジー、ビジネスに関する事柄を学ぶものになるという。具体的には、ビジネス、マーケティング、製品開発、デザイン、リベラル・アーツ(人文系学問)などが教科として設定されるとNYTimes記事にはある。

2014年秋から始まるこのコース、当初の定員はまず25人で卒業すれば学位も取得でき、しかもDr.ドレやアイオヴィンが「ハンズオン(”hands-on”)でコースの運営に関わる」とRollingstoneのインタビューにはあるので、学生はこの大物2人をはじめ、2人が見いだしたとされるウィル・アイ・アムや50セントなど、アーティストとしても事業家としても成功している連中の話なども直接聞けることになる可能性が高そうだ(また、スティーブ・ジョブズの目の前でiTunesのPingというサービスをこき下ろしたというレディー・ガガあたりもあるいはゲスト講師として登場するかもしれない)。

USCといえば、ジョージ・ルーカス監督をはじめ多くのハリウッド関係者を輩出していることで有名な映画学部(USC School of Cinematic Arts)もあり、またビジネススクールにはエンタテインメント・ビジネス専攻の学科もあるというから、Dr.ドレらの寄付で学部が新設されること自体はそれほど意外でもない。また7000万ドルという寄付の金額もそれほど多いわけではないという。ただし、新学部の具体的な方向性を寄付者が定めたりするのはあまり例のないことだとNYTimesは指摘している。

またBeatは、昨年暮れに設立を発表していた音楽ストリーミング配信サービスのベンチャー「Daisy」ーーナインインチネイルズ(Nine Inch Nails)のメインボーカル、トレント・レズナーがパートナー(Trent Reznor)ーーについて、アップルと提携するのではないかとする観測も今年春に流れていた。





ストリーミング音楽配信サービスといえば、グーグルも米国時間15日に「Google Play」で同種のサービス提供を発表したばかり。そうしたことを考えると、このBeatの2人組が今後のスマホ・プラットフォーム戦争で、ワイルドカード的な役割を果たすことになるかもしれない、などという想いもちょっと浮かんでいる。

Forbesにある「ヒップホップ界の長者番付」2013年版では次の通りになっている。

P・ディディ(Sean “Diddy” Combs )資産総額 5億8000万ドル

ジェイ・Z(Shawn “Jay-Z” Carter)資産総額 4億7500万ドル

Dr. ドレ(Andre “Dr. Dre” Young)資産総額 3億5000万ドル

バードマン(Bryan “Birdman” Williams)資産総額 1億5000万ドル

50セント(Curtis “50 Cent” Jackson)資産総額 1億2500万ドル

※資産額はいずれも推定

レオナルド・ディカプリオ主演(ジェイ・Zが音楽担当)の映画『華麗なるギャッツビー』が先週末に米国で封切りとなり、週末の興行収入が5000万ドル超えとかなり幸先の良いスタートとなったようだ。1位は前週に封切られた『アイアンマン3』で、公開直後の1億7410万ドルからは下がったものの、それでも7250万ドルの売上を記録。昨年の『アベンジャー』(公開週末の売上2億740万ドルで過去最高)に続く大ヒットになっているという。

いっぽう、ビヨンセがアントワープ(ベルギー)でのコンサートをキャンセルしたのは既報の通り。 本人手書きの謝罪メモをみると「ショウ(=コンサート)をキャンセルしたことはこれまで一度もなかったのに(……ごめんなさい)」などとあるが、それ以外のことには当然触れていない。