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 1980年代は、仮面ライダーやスーパー戦隊の映画というと「東映まんがまつり」でアニメなどとセットで上映されるものだった。だが、今は、それぞれ単独で上映されるほど中身が濃いものとなっている。そして、さらに進化した形が「ライダー」と「戦隊」という二つの異なるヒーローが同じ世界で物語を展開する形。それが今回公開された『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』だ。

 公開第1週は、動員35万5,985人、興収4億1,003万8,450円をあげて観客動員数ランキングで1位に輝いている。昨年公開の『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』との比較で134パーセントとなる大ヒットスタートを切っている。

『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』

長きに渡り地球の平和を守り続けてきた仮面ライダーとスーパー戦隊。しかし、ある日突然仮面ライダーディケイドが全てのスーパー戦隊を、ゴーカイレッドが全ての仮面ライダーを攻撃しはじめた。戦いの謎を解くため、デンライナーは過去の時間へと出発する。(作品情報へ

仮面ライダーディエンドがいろいろな意味で目立つ

 現在、TV放送されているのは「仮面ライダーフォーゼ」「特命戦隊ゴーバスターズ」ではあるが、今回の映画で主軸となるのは「仮面ライダーディケイド」と「海賊戦隊ゴーカイジャー」だ。各時代のヒーローと戦うというストーリーからこの二組になったのだろう。ここで、注目は「仮面ライダーディエンド」の活躍。ディエンド・海東大樹は、スーパー戦隊を滅ぼそうとするディケイド・門矢士を心配して、止める手立てはないかと奔走する。“お宝”しか興味なかったTVシリーズの初登場時に比べると、この海東が士に友情を感じている部分は、感慨深いものである。また、ゴーカイブルー・ジョーとのやり取りも良い。同じキザでクールな存在だが、海東が「熱い奴だ」とジョーに言う。確かに歴代戦隊のクールポジションキャラの中で、ジョーは熱い部類なのかも知れない。最後の海東の行動については、賛否両論があるだろう。だが元々の“お宝執着の理由”を考えれば、まあ納得もできる。

コラボレーション技がすごい

 今回は、戦闘というよりは謎解きのパートが多い。必殺技をこれでもかと連発する迫力アクションが好きな人にはちょっと物足りないかも知れない。ただ、仮面ライダーと戦隊のコラボレーション技については、テンションが上がる。「魔法戦隊マジレンジャー」が魔法で敵の動きを封じて、「仮面ライダー響」が炎で滅するなど、ヒーローの枠を超えたコンビネーションで戦う姿は、今回ならではの魅力。最近、ヒーロー大集合の映画が多くて「多人数で何だかわからない乱闘はもう良い」という、ちょっと食傷気味な人も、こういったコラボ要素が見られるのであれば楽しむことができるだろう。

大人の事情を持ち出したのは残念

 「仮面ライダーBLACK」の“信彦”ネタなど、往年のファンをくすぐる小ネタがいつも以上に多かったような気がする。ただ、残念なことは、仮面ライダーとスーパー戦隊がつぶし合う理由に“大人の事情”を絡めてきたことだ。正直、ビジネスを知らない子供たちは何のことかわからないだろう。それに興味もないだろう。大人の中には「まあ、そういうこともあるな」と思う人がいるかも知れないが、そこは本編とは関係ない。本編内で使われた小ネタを散りばめてマニアを喜ばせるのは良いことだが、ビジネス面での裏話を持ってくるのは、興が削がれてしまう。おまけ動画でなら良いが1本の映画の中では入れて欲しくなかった。戦う理由がどんなだったかは明かさないでおくが、最近の映画シリーズの質が高かっただけに個人的にここには不満が残る。

 今作は、全体的に「大人のマニア層」寄りな内容。ライダーとスーパー戦隊のコラボというテーマの時点で、そうなるのは仕方がないことかも知れない。ただ、ラストの方では、お約束だが「仮面ライダーフォーゼ」と「特命戦隊ゴーバスターズ」が活躍をする。その点に関して、現役ファンである子供たちも楽しめるだろう。

ヒーロー妄想のカンタの所見評価

アクション度:★★

マニア度:★★★★

謎解き度:★★★

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『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』 - 作品情報
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