中国の空港で日本人の名前を書いた紙を持って待つ人たち。ふつうに考えれば、ガイドさんだけど?

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 日本でも話題になった中国での2歳児ひき逃げ無視事件。幼女がトラックにひかれるシーンからその後の周囲の反応といった一部始終が、町の固定カメラで撮影されていたことで世界中の人が目にするところとなった。

 そこに映っていたのは、倒れた幼女の横を素通りしていく人たち。路上に倒れた人を見ぬふりなんて日本ではあり得ない状況だが、実は、中国では貧しい老人が行なう路上詐欺が社会問題となっており、これが少なからず影響を与えていたと言われている。

「美人局(ツツもたせ)」ならぬ「老人局(ジジもたせ)」と呼ばれるこの詐欺は、老人が路上にバタリと倒れ込んでいたり、壁やフェンスに意識を失ったようにもたれていたりと、一見すると手を差し伸べずにはいられないような状況。

 しかし、「大丈夫ですか」と手を差し伸べたが最後、「この人に押し倒されてケガをした!」と騒ぎ立て、賠償金を巻き上げるというトンデモない罠(わな)なのだ。

 中国当局も「路上で倒れた人を見かけた場合は、うかつに手を出さないこと」と注意を呼びかけている。お人よしな日本人は格好のカモになりかねないので要注意だ。

 ほかにも、空港の到着ロビーで現地添乗員を装った「出迎え詐欺」も注意したい。ボードに日本人名を書き、本物の出迎え添乗員より前で旅行者を呼び止めて連れ去る手口だ。ニセモノ!と気づいたときには、すでにボッタクリバーや怪しい貴金属店で被害に遭った後。空港出迎えがある旅なら、あらかじめ現地添乗員の名前を確認しておかなければならない。

 もちろん中国に限らず、世界中どこに行っても日本人観光客を狙った詐欺は存在する。どんな手口が使われているのか、まず情報収集はしっかりしておこう。

■取材・撮影/ダカーポ(近兼拓史 ダイ・シーユウイ)

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