<「フィリピン最前線〜シネマラヤの熱い風」作品一覧>
 毎年7月に開催され熱狂的な盛り上がりで知られるフィリピン映画の祭典、シネマラヤ映画祭の最新受賞作を紹介。シンポジウムを併催予定。

『浄化槽の貴婦人』
【作品解説】
シネマラヤ2011ニュー・ブリード部門(新鋭監督作部門)グランプリほか4賞受賞作。
【あらすじ】
本作は、野望あり、情熱あり、だけど勘違いの多い3人の監督たちのある1日を描いている。彼らはスターバックスで手早くプリプロを始める。そして、主演女優のミラ(ユージン・ドミンゴ)に挨拶に行き、主要ロケ地であるごみ捨て場脇の不法占拠地へ視察に行く。自分たちには素晴らしい脚本と、夢を実現させるエネルギーとパワーがあると信じている。彼らが知っているほとんどの監督と同様、彼らも自分たちの文化の本質である“貧困”を描く脚本を考えていた。

『クリスマス・イブ』
【作品解説】
シネマラヤ2011ディレクターズ・ショーケース(ベテラン監督作部門)グランプリほか4賞受賞作。
【あらすじ】
クリスマス・イブ。アギナルド家は盗難に遭い、それぞれが盗まれた物を確認するうち、互いに隠してきた心のわだかまりをぶつけ合うようになる。盗難事件によってもたらされた緊張した空気の中、一家は、教会から荒らされた家に帰った時点から自分たちが大切にしてきた思いが失われ、関係が変化してしまったことを悟る。

『海の道』
【作品解説】
シネマラヤ2010ニュー・ブリード部門グランプリほか2賞受賞作。TIFF10上映。
【あらすじ】
この作品は、人身売買の実態と、南フィリピンから近隣のマレーシアに至る海の旅を描く。調査と取材に基づいたこのドラマティックな物語は、いかがわしいシステムとマレーシアで本当に仕事があるのかどうかの不安にもかかわらず、サバでのよりよい生活を望む登場人物たちのさまざまな姿を、万華鏡のように描いている。そして、ミンダナオの多文化集団のささやかな営みも描いている。生活費を稼ぐために、不法な小型船に乗って故郷から外国の“約束の地”へと船旅をするさまざまな人物たちは、共通の目的によって結び付けられていく。

『白タク』
【作品解説】
シネマラヤ2009ニュー・ブリード部門脚本賞・主演男優賞受賞作。TIFF09上映。
【あらすじ】
前途有望な若い警官シモンは、不法かつ非合法な公益車のドライバーのアルバイトをしている。ペドロは70歳の元囚人。ある不幸な出来事によって、ふたりはフィリピン東海岸を縦断する自動車旅行に一緒に出かける羽目になる。そこでドミノ式に起こる犯罪の運命から逃れるために、彼らや彼らが出会う人々は人生の選択を迫られる。この映画は、人間のありようの矛盾と、今日のフィリピンにおけるモラルを考察する。