オフのチーム改革に向け、巨人が動き始めた。キーマンは高卒4年目、'08年のドライチ・藤村大介内野手である。目指すは機動力野球だ。
 「清武代表は『スタメンにはコンスタントに20盗塁できる選手を3人くらい置きたい』とこぼしています。ファームをみると、川相二軍監督の方針で例外のない全力疾走が義務づけられています。長距離砲として獲得した大田が二軍の盗塁王争いに加わっているくらいですからね。しかし、機動力を兼ね備えた選手を一軍で使うには、高齢・高年俸の選手を整理しなければなりません」(球界関係者)

 “オフの肩叩き”の噂は、主力選手たちの耳にも届いている。中でも危ないと目されているのが、今季契約満了の主砲・ラミレスと、昨年オフ、新たに2年契約を更新した小笠原道大の2人だ。
 「このまま優勝を逃せば、敗因を追求しなければなりません。打線全体の低迷について、統一球の影響だけでは済まされないでしょう…」(巨人担当記者)

 原辰徳監督も続投の確固たる保証を得たわけではない。渡辺恒雄会長の「他にいない」というあまりに後退的な発言は気になるが、『続投=内閣改造』の流れになりそうだ。
 「巨人が勝つときは空中戦というのは否めません。しかし、機動力を兼ね備えた野手をドラフトで補強しており、チームの方向性をそちらにシフトさせようとしているのもわかります。巨人のチーム改革は打線の見直しがメーンテーマになるでしょう」(スポーツライター・飯山満氏)

 この打線の見直しとは、ラミレス、小笠原などベテランの処遇だけに留まる話ではない。
 「阿部や、高橋由なども含まれます。ライアルなどの外国人選手もそうですが、彼らの打席ではベンチはノーサインになるんです。エンドラン、スチールなどの作戦の選択肢がなくなる。そういう状況を見直さなければ、いくら走れる選手を獲っても、宝の持ち腐れです」(飯山氏)

 昨季までのように驚異的な破壊力が打線にあるのなら、「ノーサイン」でも良かったが、統一球の影響に加え、ラミレス、小笠原に衰えも見え始めた。
 この2人にまだ力が残っているうちに、機動力野球を確立させなければ、一発頼みの現状から脱却できないだろう。ラミレス自身もそういった空気を察しているようである。
 「ラミレスは『ボクの守備が皆の足を引っ張っている』と、暗い表情を見せるときもあります。日本通算350本塁打を達成したうえ、1700本強のヒットも放っている。本人は『将来は日本で指導者になりたい』との希望を強く持っています。夢を実現させるとしたら、守備で負担の多い巨人にいるよりも、指名打者制のパ・リーグに移った方が長く現役を続けられ、個人成績も高められる。2年契約の満了と同時に、移籍先を探すのではないか」(スポーツ紙記者)