中国の遼寧省撫順県拉古郷で17日午後、北朝鮮の戦闘機が墜落した事故に対し、中国の軍事評論家である馬鼎盛氏は、「人民解放軍はなぜ、北朝鮮機が中国領空を飛行していることを知らずに放置していたのか」と疑問を呈した。

 馬鼎盛氏は、写真から見て墜落した機体は旧ソ連開発の戦闘機「ミグ21」である可能性が高く、機体の残骸(ざんがい)から判断した場合、撃墜ではないと分析。続けて、「中国領海に侵入した機体が敵意を持っていたと仮定し、遼寧省の省都である瀋陽市や解放軍基地に墜落していたら、被害は計り知れない規模だった」と述べた。

 続けて、北朝鮮機に中国領空を200キロにわたって飛行させ、領空侵犯を知らずに放置し、墜落の第1発見者が現地の農民だったことを挙げ、「今回の事件は共産党中央にとって恥となった」と語った。さらに馬鼎盛氏は、金正日総書記の後継問題や米韓合同軍事演習が行われている「敏感」な時期に、軍用機が飛び立って中国の領空を侵犯したのは普通の出来事ではないと語り、「北朝鮮の内部で何か起きている可能性がある」と推測した。

 今回の事件に対し、中国政府は墜落から1日後に北朝鮮機であったことを発表した以外、特に動きを見せていない。中国のネットユーザーの間では、「人民解放軍の対空防御能力に不安を覚えた」、「ミグ21ですら瀋陽まで飛んできたのだ、F−22だったら北京まで飛行できたはずだ」などといった声が上がっている。(編集担当:畠山栄)



■最新記事
中国に墜落した正体不明の小型機、ネットに写真流出 北朝鮮機か
遼寧の墜落機、中国政府「北朝鮮機らしい。操縦士は死亡」
遼寧の墜落機、中国で搭乗者安否含め追加発表なし…北朝鮮に配慮か
中国で墜落、乗員1人死亡、北朝鮮軍用機で脱北図る?
遼寧の墜落機、北朝鮮戦闘機が瀋陽空港に着陸試みた可能性