「これ以上ないくらいに素晴らしい瞬間だ。チームは素晴らしい責任感をもって戦ってくれた。戦術的にパーフェクトな試合をしてくれたよ」

インテルは22日のチャンピオンズリーグ決勝でバイエルン・ミュンヘンに2−0と勝利を収め、イタリア勢で初となる3冠を達成するとともに、45年ぶりとなる悲願の欧州制覇を実現した。これで、マッシモ・モラッティ会長は初めて「トレブル(3冠)」を達成した会長として、歴史に名を残すこととなる。

同会長は試合終盤、ピッチからゲームを見守った。あまり多くの言葉は発せず、モラッティ会長はCL優勝を果たしたピッチで、選手たちと抱き合い、涙を流した。特に、ジョゼ・モウリーニョ監督とはきつく抱き合っている。モウリーニョ監督の目からはとめどない涙があふれ、モラッティ会長はこう話した。

「今夜の私は何年も前と同じ感情を抱いている。これだけの期間を経て、同じことを経験できるなんて、私にとってはとても大きな感動なんだ。申し訳ないが、今はみんなと抱き合いたい」

そしてモラッティ会長は勝利を祝いに行き、選手たちと同じ舞台に立って、UEFAのミシェル・プラティニ会長から勝者のメダルを授与された。「そうなんだ。私にも(メダルが)あったんだよ。好意からくれたんだろうと思っている」と述べたモラッティ会長は、次のようなコメントも残している。

「私は泣いていないよ。モウリーニョが涙を浮かべていた? 罪悪感のようなものではないことを願っている。それよりも、愛情から来たもので、感動から来たものであって欲しい。彼は幸せそうだった。とてもハッピーだったんだ。私や選手たちと一緒だよ。彼らは幸せにあふれていた。それはつまり、これが本当に大きなことだという意味だよ」

だが、モラッティ会長の胸騒ぎは、その数分後に現実のもとなる。モウリーニョ監督はテレビカメラの前で、かなりの確率でインテルを去り、レアル・マドリーへ行くと語ったからだ。モラッティ会長はこれを受け、次のように語った。

「それについては、近いうちに話をする。いずれにしても、私はモウリーニョに感謝しているよ。我々にたくさんの勝利、いやすべての勝利をもたらしてくれたのだからね。それだけじゃない。彼はプロ意識と勝者のメンタリティーをもたらしてくれた。彼の功績は本当に大きなものなんだ。決して忘れられない人物だよ」

「今夜はマドリッドに残る。モウリーニョはチームとミラノへ戻る予定だ。だが、すでに彼が別のチームにサインをしたとは思わない。彼は真面目な人物だからね。話くらいはしただろうが、まだ考えを変えるように説得できる余地が残っていることを願っているよ」

一方で、モラッティ会長は現実的に、後任の監督像についても言及している。

「モウリーニョは唯一無二の存在だ。彼のように指揮を執り、モチベーションを与え、コミュニケーションを図る人はいない。もしも彼のポストに別の人間が来るのなら、真似をしようとしてはいけないんだ。それよりも、自身のパーソナリティーとともに前進しなければいけない。コンプレックスを解消し、まだまだやるべきことのあるチームを、うまくコントロールできるようでなければいけないね」