女性の脳と男性の脳では「美」についての脳内処理が異なっていることが判明
米国科学アカデミーでも研究論文によると、男性と女性の神経系統で美術的な好みについては明確な差が認められたとのこと。脳の神経活動については性別による差がどれほどあるのかはまだ少ししか研究されていないので、なかなか基調な研究結果になっているようです。
今回の実験は10人の男性と10人の女性とで行われ、ある絵や写真を見てそれが芸術的でなおかつ視覚的に美しいかどうかを考慮してもらい、その際の脳の活動を記録していったそうです。脳神経の活動により発生する微弱な磁場を頭皮上で測定する方法として「脳磁図(Magnetoencephalography、略して「MEG」)」と呼ばれる方法を使っています。このMEGによって、美しいかどうかを判断する際には男性と女性とで頭頂葉の活動において、はっきりとした差があることがわかったそうです。
Itv News | There Might be Different Processing Strategies for Beauty in Women and Men : Studies
現在の研究では芸術的・非芸術的な視覚的な刺激による「美」の評価において、男性と女性の参加者の間で脳の活動を識別するため、ミリセカンドという非常に短い単位での変化を分解することが可能になっており、ニューロンのシナプス後電位によって生成された磁界の変化を検知する技法が使われているそうです。
今回、参加者は実験において、見せられたイメージが美しいか美しくないかを述べるように依頼されており、その際には彼ら自身の印象を強調するようにしています。
で、「美しい」と感じた場合の結果はこんな感じ。左にあるのが女性の左脳と右脳、右にあるのが男性の左脳と右脳です。女性においてはほぼ左右同型の反応を脳が示すものの、男性の場合は右脳が明らかに活発化しています。また、女性の方が判断する反応がやや早い傾向があるということがわかります。
男性の場合はこれを見ればわかるように、明らかに右脳が優先的に活動しています。
この結果で何がわかるかというと、男性と女性とでは「美」について異なる処理のされ方が脳内で行われているということ。詳細な差の原因についてはこれから確認することになっているものの、おそらく、女性は要素の空間関係の表現について、空間を上下、左右といった言語的カテゴリに分類して表現するカテゴリカル関連性に基づいて「美」の判断を行っており、男性は空間を定量的な座標系で表現するコーディネート関連性によって「美」を判断している、ということを示唆しているそうです。
さらに、この性別による脳の活動部位の差について、進化するに従って性別間の違いが出てきたのか、それともはるか大昔の祖先の段階で既にこのような性別による差があったのかどうかも今後は調べていくとのことです。
・関連記事
半裸の女性の画像を見るとき男性の脳はただの物体として処理している - GIGAZINE
攻殻機動隊の「義体化」へ一歩前進、脳細胞でコンピューター回路を作成することに成功 - GIGAZINE
脳をブーストさせる4つの食べ物 - GIGAZINE
インターネットを使うと「脳」によい影響を与え、知力を押し上げる - GIGAZINE
菜食は肉食に比べて脳収縮を引き起こす可能性が高い - GIGAZINE
見えないところで忍び寄る恐怖、脳を食べる殺人アメーバ - GIGAZINE
記事全文へ