朝青龍問題、時津風部屋の弟子急死問題、武蔵川部屋の暴行と国技「相撲」と「日本相撲協会」に激震が走っています。事件の度に必ず登場するのが“親方”です。ところで、この親方って、どんな存在なんでしょう。親方になるために“親方株”というものが必要なようです。

一般社会とは、ちょっと違う相撲の世界。
今回は、騒動に揺れる相撲界の親方株について、みてみたいと思います。

■そもそも親方株って何?

親方株は、正式には年寄名跡(としよりみょうせき)と言い、引退後も日本相撲協会に残る権利をさします。親方株を取得すると協会の役員になったり、相撲部屋を作り弟子を養成することができるようになります。親方株を取得しても、部屋を作らなかった場合は出身部屋の部屋付き親方となり後進の指導にあたることになります。

■さて、親方株って、どうやって入手できるの?

年寄名跡を得て親方になるには、日本国籍を有していて、次のいずれかの条件を満たす必要があります。
・小結以上の三役を一場所以上の在位
・幕内21場所以上の在位
・十両以上の本場所を30場所(部屋を継承する場合は20場所)以上

上記の資格を現役中に満たして親方株を取得すれば、引退後に相撲協会に残ることができます。親方株を取得するには、先代の親方から親方株を譲り受けて年寄名跡を引き継ぐこと多いようです。
年寄名跡は、現在では105家が存在しますが、引退する力士の数に比べて空いている年寄名跡、もしくは年寄名跡を譲っても良いと考えている親方の数は少ないので、お金で取引されることも多く、現役中に充分な蓄えが必要となるわけです。

地獄の沙汰も金次第というわけですね。

親方になるには、上記の他に“一代年寄”という資格があります。これは、横綱または大関を襲名した力士には、年寄の資格“一代年寄”が与えられるのです。ただし、名乗る年寄の名称は現役引退時の四股名であり、期間限定の年寄なのです。
現在の一代年寄は4名。
・北の海敏満(第55代横綱)
・貴乃花光司(第65代横綱)
・武蔵丸光洋(第67代横綱)
・栃東大祐 (大関)

なお、期限は横綱で5年、大関は3年と定められています。それ以外の力士も準年寄として1年間だけ協会に残ることができます。期限以降も協会に残るためには、通常の親方株を取得する必要があります。

年寄名跡

■親方株にまつわる諸々

原則として日本相撲協会は、親方株の売買は認めていません。しかし、これには罰則規定がないためか、相撲界では襲名継承金として金銭を支払う慣習があったようです。

このため親方株を巡ってトラブルが起きています。

有名な双子山部屋では、1996年、後援会から親方株「双子山」の取得資金として3億円が提供され、当時の故双子山親方(元大関・貴ノ花)が所得を申告していなかったことから親方株が高額で取引されていることが世間の知られることになりました。

2003年には親方株「立浪」を巡って先代立浪親方(元関脇・羽黒山)が7代目の現在の立浪親方(元小結・旭豊)に親方株の譲渡代金として1億7500万円の支払いを求めた訴訟などが起きています。

年寄株問題

■親方になっても実は大変?

苦労して手に入れた親方株ですが、部屋のこと、弟子のこと、全てが親方の責任となります。横綱・朝青龍問題では、高砂親方も心労の他に減給処分も受けています。
また、弟子急死問題で、あらたに襲名した新時津風親方(元幕内・時津海)も、大変な責任を背負いながらのスタートとなっています。


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