VR関連のデバイスはGetNavi Webでもたくさん紹介してきました。VRゲームやソフトが出揃ったいま、次のアップグレードとして注目が集まっているのが、視覚以外の要素を加えてVR体験をもっとリアルにするという取り組みです。

 

先日紹介したばかりの「Feelreal」はVRゲームの内容に合わせて風、匂い、ミスト、熱を顔に放ってくれるというVR拡張プロダクトでした。VR世界で見えている光景と連携して五感が刺激されることで、ゲームにさらに没入できるというコンセプトは確かに説得力がありましたが、YouTuberのJames Brutonさんはポーツマス大学の学生と協力して、さらに大胆なVR拡張テクノロジーを開発し、話題になっています。

 

VRに嗅覚を。よりリアルに近づく「VRマスク」がクラウドで大注目

 

James Brutonさんたちが製作したのはなんと大型のパンチング・ロボットと、それと連動しているVRゲーム。ゲームのなかのロボットの動きに合わせて、プレイヤーの目の前に設置されたロボットが殴りかかってくるデザインになっています。プレイヤーはクッションの剣と盾を使って、ロボットの攻撃をかわしながら戦うわけですね。

このロボットはJamesさんの手作り。ロボットの足となる部分の木の板を切断したり、モーターやコンピューターを設置したり、3Dプリンターなどを駆使したりしながら、Jamesさんはこのマシンを作ったんですね。しかし、彼はこれをシステムとして市販することを目指しているわけではなく、製作に使われたツールはすべて解説・公開されています。ロボットの動きはViveトラッカーを使ってVRへとトラックバックされており、コードの一部はGitHubでリンク公開されています。

 

ロボットを動かすインターフェースはVRゲームによってコントロールされており、ゲーム内のロボットの動きはそのまま現実世界のロボットに送られて同じパンチを繰り出してくるそう。プレイヤーがそれを避けるのに失敗したら、現実世界でロボットにボカンと殴られるわけです。ゲーム内で飛んでくるパンチと実際のパンチに若干のズレがあるようですが、これはバーチャルを越えて、リアルに痛そうですね……。

Feelrealや今回のVR実戦ロボット、大都市に次々に現れているVRゲームセンターを見てわかるのは、視覚以外にリアルな感触を足すことで没入感が一気に高まるということ。VRゲームセンターでは動くシートにのってVR世界の乗り物を運転するゲームが人気ですし、今回のロボットも、ゲーム内で殴りかかってくるパンチの重みを身体が感じているところを想像すれば、かなり臨場感が湧いてきそうですよね。

 

つまりVRは、視覚はバーチャル、それ以外はリアルをそのまま応用するという方向に向かっているのでしょう。ユーザーの五感を刺激することにより人工的な環境を作り出すのがVRだとしたら、それは当然の成り行きかもしれませんが、このロボットの誕生によって、VRはますますリアルになってきたように思います。

 

海外メディアでもこのロボットは「面白いコンセプトだ」と紹介されていますが、特にロボットに殴られるという点が笑えるようです。ある記事では「このアイデアは一人っ子で育った人が考えたものだな。もし殴られたいなら、年上の兄弟がいればいいだけなんだから」と書かれている一方、YouTubeのコメント欄には「ロボットに闘い方を教えたわけだな。これは終わりの始まりだ」「とってもいいね。遊びながらエクササイズにもなる」とポジティブな反応がたくさん見られます。

このゲームは広い場所でプレーできたら、かなり没頭できそうですよね。これが応用されたゲームがVRゲームセンターに導入されれば、私は間違いなく行きます。