今季のJ1リーグは、特に残留争いが大混戦になりました。僕は開幕前のコラムで、川崎、鹿島、浦和の優勝争いと、次に続くのが磐田、柏、C大阪で、不気味な存在はFC東京とG大阪と予想していましたが、大きく予想をくつがえす結果だったと思います。

今年、これほど混迷を極めたのは、本来もっと上位争いを繰り広げなければいけないチームがつまずいてしまったからだと思います。その中で川崎だけは安定していて、だからこそ連覇を成し遂げることが出来たのでしょう。

特に監督を交代しなければならなかった浦和や柏、G大阪がその名にふさわしい戦いぶりを見せられなかったのが大きかったと思います。また、入れ替え戦進出が決まった磐田はシーズン途中の補強も含めてタレントを揃えましたが、歯車が狂ったときにうまく立て直せないまま敗戦していたことが響いたと思います。

唯一、鹿島だけはACLを制しました。リーグ戦とACLのどちらも結果を出すというのは本当に難しいことだと思いますし、今季のACLに優勝しつつ、来季のACLの出場権も獲得したというのは高評価に値するはずです。

そんな今季のJ1を総括すると、僕は「始まりの年」だったのではないかと思います。アンドレス・イニエスタ、フェルナンド・トーレスなどのビッグネームが次々に来日しました。2人が加入した神戸、鳥栖ともに成績は振るいませんでしたが、それは2人が合流してまだ1シーズンも経っていないからだと思います。

次元の違うプレーを見せられる2人に加えて、来季は元スペイン代表FWのダビド・ビジャも神戸に加入することになりました。Jリーグはそんな有名選手が次々にやってくるような戦いの場になったのです。

これで周りの日本人選手のレベルも上がっていくことでしょう。外国籍選手枠が増えることで、さらに競争も激しくなっていくと思います。そんなきっかけを生んだのが今年だったのではないでしょうか。

また、川崎の連覇で見逃してならないのは、昨季の優勝で川崎は豊富な資金を獲得していたことでしょう。資金があるので選手の流出を防げましたし、新たな戦力も確保できました。しっかりと選手に資金を投入できたことから強さを維持できたのです。

ビッグネームを呼んだり、選手を積極的に補強したりというチームがリーグ上位に来るようになれば、さらにマーケットも拡大するでしょう。そんな来季のJリーグを夢見て、僕はもう楽しみになってきました。