キリンビールが復元した(左から)ドゥーフ、川本、コープランドが19世紀に醸造したビール。(写真提供:キリンビール)

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キリンビール<2503>は14日、「日本のビールのさきがけ」となった3つのビールを、19世紀の資・史料に基づいて復元したと発表した。復元は、同社が行っている「ビール5000年の旅」探求プロジェクトの第3弾として、日本のビールのルーツを探ったもの。同社はこれと併せて、「キリンビール」として発売された当時のビールも復元した。

 07年に創業100周年を迎える同社は、これまでに「ビール5000年の旅」探求プロジェクトとして「古代エジプトビール」や「中世グルートビール」を復元している。同社広報によれば、今回のビールは06年から、それぞれの人物にゆかりの深い同社工場で限定製造、試飲会などに提供はするが、商品化は予定していない。

 復元されたビールは、いずれも江戸時代から明治時代に醸造されたもので、同社では「日本のビールのさきがけ」と位置づけている。 
 ◆1812年(文化9年)ごろ、長崎・出島のオランダ商館長ヘンドリック・ドゥーフが醸造したとされる大麦麦芽の他に小麦か小麦麦芽を使用した白ビールで、ホップの代わりに香料の丁子(ちょうじ)が使われており、ほのかな甘味と酸味が特徴。
 ◆1853年(嘉永6年)ごろ、三田藩(兵庫県三田市)出身の蘭学者・川本幸民が醸造したといわれるビールで、日本酒酵母を使用、ほのかな甘味と豊かな香りが特徴。
 ◆1870年(明治3年)に、横浜・山手の醸造所でアメリカ人醸造家ウィリアム・コープランドが醸造したビールで、日本で初めて産業として継続的に醸造されたドイツ風ラガー。当時冷凍技術がなかったため、冬の間に仕込み、横穴を掘って成熟させたという史実に基づいて、発酵・貯蔵温度を高めに設定したビール。
 ◆1888年(明治21年)、「キリンビール」として発売された当時のビール。【了】

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