完成度の高さがハンパない製作意欲をそそる秀逸なプラモデル7選【2017傑作品 GP AWARD】
2017年はバンダイをはじめ、各社から秀逸なキットが続々と登場した。その中から特筆すべきキットを厳選。精密さはもちろん、ユーザー目線の作りやすさにもこだわっており、製作意欲がそそられるものばかりだ。
■造形も細かさに加え、作りやすさも徹底
バンダイ
「PG 1/72スター・ウォーズ ミレニアム・ファルコン」（4万3200円）
▲© & ™ Lucasfilm Ltd.
『スター・ウォーズ／新たなる希望』に登場したミレニアム・ファルコンをプラモデル化。1.7mサイズの撮影用モデルを2度にわたって取材するとともに、撮影用モデル研究家の全面協力を得て、精巧なキットを完成させた。完成後のサイズは全長約482mmで迫力満点。コクピットやエンジンなどには劇中さながらの発光ギミックも備える。片側に突起が設けられて向きを間違えると組めなかったり、パーツ自体よりもハメる凸部が太かったりと、作りやすい工夫が満載。複雑なメカや窪んだダメージの造形が成形状態から施されている。
▲作りやすい工夫が満載。 複雑 なメカや窪んだダメージの造形が成形状態から施されている © & ™ Lucasfilm Ltd.
■コーディングなどにより仕上がりの良さを追求
バンダイ
「MG 1/100 ダブルゼータガンダムVer.Ka」（6480円）
肩部の関節には複数の可動軸を設けられており、完成後には幅広いアクションが可能だ。チラッと見える部分に採用されたエクストラフィニッシュ加工済みのパーツが、完成後の重厚感を引き出す。劇中同様の変形と合体も可能だ。
■ビス留めを多用する実車さながらに精巧な作り
タミヤ
「1/6 オートバイシリーズ Honda CRF1000L アフリカツイン」（2万3760円）
過酷なモータースポーツと呼ばれるダカール・ラリーの2輪カテゴリ ーで、かつて勝利を重ねたホンダのバイクを起源に持つ、CRF10 00Lのキット。実車さながらの構造で、ビス留めが多様されている。完成時の全長は390mm。
■各部の作りが忠実で精密な1/35スケールモデル
ハセガワ
「日立建機 油圧ショベル ZAXIS 135US」（3672円）
日立建機株式会社商品化許諾
建機プラモシリーズの第1弾。先端のアタッチメントは、組み立ての際にバケットとフォークグラップルを選べる。操縦席内部にはドーザ ーブレードの操作レバー部品を備えるなど精密な作りだ。着座姿勢の男性オペレーター部品が付く。
日立建機株式会社商品化許諾
■�犒僂�目〞が目立たないのは高度な成形技術の賜物
バンダイ
「Figure-riseBust初音ミク」（1944円）
ひとつのパーツながら瞳、眉、口が色分けされているのは、同社の“レイヤードインジェクション”技術によるもの。パーツの合わせ目が目立たない各部のディテールほか、原型師こだわりの造形による顔、髪、指先の表情が見事だ。
■搬送から発射まで印象深い形態を完全再現
グッドスマイルカンパニー
「1/150 プラスチックモデル ソユーズロケット＋搬送列車」（5800円）
国際宇宙ステーションへ向けて宇宙飛行士を送り出す、唯一の宇宙船を再現。搬送列車の車輪幅は9mmにアレンジされており、鉄道模型としても完成後のディスプレイを楽しめる。さまざまな形態で飾るのも魅力だ。全高約320mm。
■パーツ数を最小限に抑えた初心者向けの簡易キット
アオシマ
「ザ★スナップキット No.2-Aトヨタ プリウス（スーパーホワイト II）」（1620円）
パーツ数を極限まで抑えて作りやすさを追求。ハメ込み式なので接着剤を使わずとも組み立てられる。ボディ色は、あらかじめ着色で再現されており、シールを貼るだけで塗装も不要だ。プリウスのほかにもハスラーがラインナップ。
【識者の目＿フリーライター 廣田恵介さん】
開発の裏側や実車の仕組みが分かる…。衝撃を受けたふたつのプラモデル
ガンプラで知られるバンダイのプラモデルは、ここ数年目を見張るものがある。特に今年発売された「PGミレニアム・ファルコン」。映画のプロップそっくりに精密で、しかも初めてプラモデルを作る人でもニッパーさえあれば完成できるのだ。
例えば、細い配管パーツは柔らかい素材で成形されており、別の部品にハメる凸部が大きくなっている。これによってパーツが折れにくく、パチッと気持ちよくハマるのだ。「誰でも必ず最後まで出来上がるようにするんだ」という開発者の執念を感じずにはいられず、そういう“裏側”を見るのが、プラモデル作りの醍醐味だろう。もうひとつ忘れられないのが、タミヤ「Honda CRF1000L アフリカツイン」。
1/6スケールで、接着するよりビス留めする箇所の方が多いなど、限りなく実車に近い構造になっている。特筆すべきは、その“足回り”。ホイールとスポークが別パーツ化されており、スポークをしっかり取り付けないと車体が支えられないのだ。実車のバイクも同様だといい、バイクに全く興味のない自分が、スポークの重要性をプラモデルづくりから理解できたのは、本当にスゴいこと。アフリカツインの真価はそこにあると、私は思う。
●フリーライター・廣田恵介さん
模型専門誌やWeb媒体を中心に執筆活動を行なっている。1日30分は必ずプラモデルづくりに当てるとか。製作するキットは戦車、飛行機、クルマとその範疇は広い。
（文／GoodsPress編集部 写真／羽田洋＜プロペラ映像制作所＞）
