12月に無理なく始める「年間25万円節約法」
無理な節約をしなくても、おカネは貯まる。これを読んで「2018年から家計の仕組み作り」を始めよう(写真:sasaki106 / PIXTA)
年末年始は家計を見直すのに最適なタイミングといえます。年始の新鮮な気持ちは新しい事柄をやる気にさせてくれます。
また、普段は忙しくて時間がない人も、まとまった休みをとれる可能性があり、家計を振り返るきっかけにできるからです。この記事を読んだ読者の皆さんは、12月の今はもちろん、冬休みの予定に、「2018年から始める家計の仕組み作り」を加えてみるのはいかがでしょうか。
「家計簿アプリ」使用なら、毎月2万円強の家計改善に
仕組み作りでは家計簿アプリを利用するのはかなり有効です。家計簿アプリを提供している企業はいくつかありますが、代表格であるマネーフォワードが行った意識調査「お金の意識調査 2017年度下半期」によると、ユーザーがサービス利用前後で実感した収支の改善額は、平均で月額2万1513円という結果でした。年間なら25万円以上の改善です。
家計簿による家計の改善は、「日々のデータの記録」→「記録した情報の分析」→「改善案の実践」というステップを踏みます。直接、家計改善に目に見えて効果があるのは、行動に移す「実践の段階」になってからです。できれば、記録に時間をかけず、分析以降に進みたいところですが、やり方を間違えると、データを記録しては忘れたりの繰り返しになったりで、なかなか前に進みません。
その点、家計簿アプリを利用することで、記録の手間を軽減し、分析以降のステップに速やかに入れることは、確かに家計改善の効果を得られそうです。
ラクして分析以降の段階に進む方法は、いくつかありますが、もし家計簿アプリの選定や設定を難しいと感じる人は、どうすればいいでしょうか。
そういう人は、通帳やクレジットカードの明細を半年に1度、熟読するだけでも効果があります。
定期的におカネが出ている「固定費」を見直そう
クレジットカードの明細は、会社によっては、3カ月程度しか見られない場合もあるため、「四半期に1度」を目安にしてもいいですね。
たとえば手帳などに「クレジットカード明細のチェック日」と記しておけば、忘れることもありません。
このように、「勝手にたまっているデータ」を定期的にチェックするだけで、たとえば解約を忘れていたフィットネスクラブの処理や、年会費がかかるクレジットカードの整理、さらには、「いま借りている住居はそもそも家賃が高いのでは?」などといった固定費の改善に目が向くようになります。
一見、日々の節制で気がつきやすいのは、たまたまその月にあった行事や感情によって支出額が変わるような変動費です。
しかし、固定費の見直しは、チェックするタイミングを作らなければ、見落としがちです。お財布から直接出ていくおカネ(主に変動費)は支払う際に気づきを得やすいですが、引き落としなどで支払っているもの(主に固定費)は無意識になりがちだからです。
逆にいえば、その分、変動費よりも固定費を改善することのほうが、ストレスは感じにくいかもしれません。しかも、もし1度家計が改善したら、そのままの金額を支払っていたときと同様、意識をしなくても効果が自動的に続いていきます。ぜひ、実践してみてください。
さて、データを定期的にしっかりチェックすることで、固定費の見直しが自然にできるようになるというお話をしましたが、もう1つ、日々の行動ちょっと変えるだけで、おカネの流れが見えるようになります。
それはどんなことでしょうか。
実は、現金(キャッシュ)をなるべく使わないようにするということです。先日、私は最近オープンした「現金支払い不可のレストラン」に出掛けました。注文はタブレット端末で行い、支払いは電子マネーやクレジットカードなど、現金以外で行います。
お店の側も、現金支払い不可であれば、おつりなどでの間違いが起こらないため、レジを締めるのも圧倒的に短時間で済みます。また、レジを担当してから食品を扱う場合、手洗いやアルコール消毒をする必要がありますが、こうした衛生上のオペレーションも軽減されます。
消費行動のデータが家計簿アプリに
こうした「大きな生産性の改善」は、店舗だけでなく家庭の側にも当てはまります。実は、わが家では、ほとんど現金を使いません。「家計簿アプリを使わないでも改善できる」お話をしたばかりですが、わが家では家計簿アプリを使っています。
ほとんど現金を使わないので、家計簿アプリにはほとんどの消費行動のデータが自然にたまっていきます。家計を把握するために行うのは、定期的に家計簿アプリにログインして、チェックをするだけになっています。やはり、家計簿アプリはおすすめです。
こうなると、たまに現金でしか支払えないケースに遭遇すると、わざわざ家計簿アプリを開いたりして、入力(記帳)するのが面倒に感じます。現金支払いばかりしていると、集計するという手間コストが伴いますし、時に記帳漏れも発生します。現金が必要でATM(現金自動預払機)を頻繁に使っていると、残高や使う時間帯などによっては、手数料などがかかってしまうこともあるかもしれませんね。
たとえば2週間に1度、ATMで216円支払って現金を引き出している場合、年間約5000円の費用が発生しています。また、家計簿を手入力で記帳するのに1日3分間使っているとしたら、年間で約18時間の作業量となります。時給2000円の人の場合、実質的に約3.6万円分の手間を省けることになります。
さらに、還元率の高いカードやモバイル決済、アプリでポイントカードの携帯などを使えば、そんなに苦労しなくても買い物の2%程度のポイント還元を受けることができます。月に10万円程度の支払いがある場合、年間2万4000円相当の還元を受けることになります。
こうして考えると、キャッシュレス化するだけで何も生活を変えなくても年間約6.5万円相当分、今より家計や時間にゆとりが生まれます。加えて自動的に貯まったデータを気が向いた時にチェックするだけで、さらなる家計改善につながる可能性もあります。
日本銀行が今年2月に出したリポートによると、日本の名目GDPに対する現金流通残高は19.4%。たとえばキャッシュレス化が急速に進んでいるスウェーデンの1.7%などと比べると、まだまだ非常に高い比率であることがわかります。
スマホなどで決済を行うモバイル決済は、先進国に比べ、個人向け銀行業務が発達していなかった国のほうが、進んでいる傾向もあります。日本では従来金融サービスが発展し、十分に整備されていたからこそ、現金で特に困らない背景があるともいえます。
一方、東京オリンピックに向け、キャッシュレス化が推進されている背景を考えると、個人としては、「現金でもキャッシュレスでも消費行動が変わらない習慣」を身に付ていきたいところです。家計簿アプリを効果的に使う意味でも、家計のキャッシュレス化を進めると、正しく、しかもラクに分析しやすくなります。
このように、家計簿アプリの導入をしたり、現金払いを極力減らしカードでの支払いをスタートさせることは有効なので、「2018年は絶対にスタートさせる」と決めてしまうのもいいですね。まとまった時間がとれるタイミングで、わが家のおカネの使い方に、どういったシステムを導入するのかを考えると、普段の生活はほとんど変えずに、家計改善を実現することができます。
まずは年末年始の時間を、「現状を確認するために時間」として確保しましょう。家族が集まる時間に、日常の家計管理について話し合う機会を設けるのももちろん有効です。