イチローの隠れた大記録なるか。あと296でメジャー28人目の快挙

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 昨年はマイアミ・マーリンズイチロー選手が史上30人目の通算3000安打を達成し、日本のみならず全米中で大きな話題となりました。もちろん、今年も偉大な金字塔を打ち立てそうな選手が多くいます。そこで今回は、今季中に大台を突破しそうな記録を取り上げてみました。


メジャー17年目のイチローがまたも偉大な記録に迫りつつある 最初に紹介したいのは、テキサス・レンジャーズのエイドリアン・ベルトレです。今年4月で38歳となったベルトレは現在(4月17日)2942安打をマークしているので、あと58安打で史上31人目の通算3000安打を達成します。現在は右ふくらはぎのケガが再発して故障者リストに入っていますが、今年中に大台を突破するのではないでしょうか。

 また、それと同時に注目したいのは、二塁打と本塁打の数です。二塁打をあと9本打てば通算600二塁打を達成し、ホームランをあと5本打てば通算450本塁打に到達します。この「3000安打・600二塁打・450本塁打」を達成しているのは、過去にハンク・アーロン、スタン・ミュージアル、カール・ヤストレムスキーの3人しかいません。いずれも殿堂入りしている伝説のバッターばかり。彼らに並ぶ快挙があと少しに迫っています。

 次に紹介するのは、ロサンゼルス・エンゼルスのアルバート・プホルスです。イチロー選手と同じ2001年にメジャーデビューした37歳のプホルスは、あとホームランを8本打てば通算600本塁打に到達します。

 ただ、これはあくまでも通過点。サミー・ソーサの609本塁打、ジム・トーミの612本塁打も目の前に迫っており、さらにはケン・グリフィー・ジュニアが持つ歴代6位の630本塁打も今年中に超える可能性すらあります。プホルスは直近3年間でシーズン平均33本塁打を打っており、2年前には40本塁打をマークしました。今年はDH専門なので、ホームランの量産に期待したいところです。

 また、プホルスのチームメイトのマイク・トラウトも今年中に大台を突破するかもしれません。あとホームランを29本打てば、通算200本塁打の達成です。数字的にはまだ少ないですが、8月7日の誕生日までに到達すれば、史上8人目の「26歳未満での200本塁打達成」というスピード記録となります。

 今年のエンゼルスの試合日程を見ると、開幕から8月7日の誕生日まで112試合が行なわれます。2015年のトラウトは開幕から102試合目で32本塁打を打っているので、決して不可能な数字ではないでしょう。

 同時にトラウトは、あと67安打で通算1000安打も達成します。25歳で「1000安打・200本塁打」を成し遂げたのは、過去にアレックス・ロドリゲス、ミッキー・マントル、メル・オットー、ジミー・フォックスの4人しかいません。今年の夏までに何本のホームランとヒットを量産できるのか、非常に楽しみです。

 続いては、シアトル・マリナーズのロビンソン・カノを紹介します。メジャー13年目のカノは、通算500二塁打と通算300本塁打という大台が近づいてきました。通算500二塁打にはあと17本、300本塁打にはあと20本。二塁手として「500二塁打・300本塁打」を達成すれば、ジェフ・ケント、ロジャース・ホーンスビーに続く史上3人目となります。メジャーの長い歴史を振り返っても、これほど長打を放っている二塁手は本当に数少ないのです。

 もちろん、今年もイチロー選手の記録を取り上げないわけにはいきません。まずは、あとシングルヒット35本で通算2500単打の大台に乗ります。これがどれだけすごい記録かというと、現役選手で歴代7位のイチロー選手に次ぐのが、ベルトレの1870単打。これは歴代69位の数字です。

 シングルヒッターはホームランバッターと比べて総じて年俸が安く、早めに引退してしまう選手が多いだけに、この記録はアメリカでは非常に高く評価されています。歴代6位のウィリー・キーラー(2513単打)も射程距離に入っているので、日本ではあまり注目されていませんが、ぜひとも覚えておいてください。

 そしてもうひとつ、隠れた記録として注目してほしいのは、もうじき通算10000打数に達するということです。あと296打数でメジャーリーグ史上28人目の大台突破となります。史上28人目ということは、通算3000安打より達成者は少ないのです。昨年のイチロー選手は327打数だったので、同じペースで打席に立てば今年中に達成できます。

 イチロー選手にとってこの10000打数は、ひそかに誇りとする記録になるのではないでしょうか。というのも、彼は常々「大きな目標を達成するには、小さなことの積み重ねが大事」と言っています。まさにこの10000打数こそが、小さなことの積み重ねの結晶でしょう。イチロー選手がこの記録を達成したとき、どんなコメントをするのか非常に興味があります。

 一方のピッチャーでは、アトランタ・ブレーブスのバートロ・コローンの記録に注目です。現役最年長の43歳で、今年の5月24日で44歳。メジャー20年目のコローンは、あと121個の三振を奪うと通算2500奪三振を達成します。これは史上33人目となるので、バッターなら3000安打と同じくらいの価値があるでしょう。

 なにより注目したいのは、コローンは抜群のコントロールの持ち主だという点です。現在フォアボールの数は891個。それに対し、奪三振の数は2379個。通算2500奪三振で1000四球未満という記録は、史上9人目の快挙です。

 そして最後は、デトロイト・タイガースのクローザーを務めるフランシスコ・ロドリゲスを紹介しましょう。「K・ロッド」の愛称で親しまれる35歳の剛腕は、あと15セーブで史上4人目の通算450セーブを達成します。過去にこの大台まで到達したのは、マリアノ・リベラ、トレバー・ホフマン、リー・スミスの3人だけです。

 記録を達成したときに注目してほしいのは、彼の代名詞ともいうべき奪三振の数でしょう。現在1125奪三振をマークしており、このままのペースで通算450セーブを達成すると、ホフマンの1133奪三振、リベラの1170奪三振を上回る可能性があります。

 一度は中継ぎに回るなど、選手生命も終わりに近づいたかと思われましたが、ここ数年で見事に息を吹き返しました。メジャー16年目の2017年は、K・ロッドにとって忘れられないシーズンになるのではないでしょうか。

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