ロンドンの動物園でゴリラが脱走するアクシデント(出典:https://www.theguardian.com)

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このほどロンドン動物園で、1頭のオスのゴリラが飼育舎から脱走するアクシデントが起きた。麻酔銃によりすでに飼育舎に戻されたが、高い知能のほか優しい心の持ち主として知られるゴリラだけに、市民は安心するとともに「何が彼をそうさせたのか」と心をモヤモヤさせている。

大英図書館の西、そしてバッキンガム宮殿からは北に約3kmのリージェンツ・パークに位置する「ロンドン動物園(ZSL London Zoo)」。広大な敷地と豊かな自然を誇り、家族連れや市民の人気スポットとなっている。そこの“ゴリラ・キングダム”と呼ばれるゴリラ舎からこのほど1頭のゴリラが逃げ出す騒ぎが起きていたことを多数の英メディアが報じている。

アクシデントは13日、閉園時刻が迫って見物客が100名ほどに減っていた中で発生した。少なくとも7頭のゴリラが飼育されていた中、2013年にデボン州の「ペイントン動物園」から譲られたニシローランドゴリラのオス、18歳の“クンブカ(Kumbuka)”が逃げ出したという。園はすべての見物客を安全な建物の内部に避難させたうえでロックダウンとなり、現場ではスタッフの獣医がトランキライザー・ガン(麻酔銃)でいち早く対応。武装した警察官が補助、警戒にあたった。

同園はその原因について警察の調査を受けているが、哺乳動物科の飼育長であるマルコム・フィッツパトリックさんは「飼育エリア内で起きたマイナーなアクシデントです。クンブカが見学客の目の前に現れる、あるいは危険なふるまいをするといったことは一切起きていません」と説明した。その夜は飼育員がクンブカに寄り添い、お気に入りのお菓子を与えるなどして精神的に落ち着かせながら再発防止に努めるとしている。

ただしマーケティングの会議のため当時その動物園におり、5時過ぎに休憩をとろうと散歩に出てゴリラ舎を通ったというロブ・ホーガンさんは興味深い話を披露している。

「フラッシュをオフにして彼らの写真を撮っていると、警報器が大きな音を立てて『避難訓練を実施するため爬虫類コーナーに移動を』という案内があり、私たちはそれに従いました。ところがヘリコプターがやってきて低空でホバリングを続け、そこで私たちは訓練どころか実は非常事態であることを知らされたのです。そのまま緊迫した状態が約30分続きました。」

実はホーガンさん、騒動の直前にクンブカが活発に動く様子を捉えていた。「彼は太いロープに絡まって遊んでいましたが、ジャンプしてはガラスにドシン、ドシンとアタックするのです」と説明している。飼育員によるとクンブカはこの日は気が立っていたということで、これがここから逃げ出したいという意思を示す行為であった可能性も高そうだ。

出典:https://www.theguardian.com
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)