中国メディア・鳳凰網は28日、「アフリカ道路建設支援 中国が日本より多くのお金を投じているのに、なぜ日本の方が評判がいいのか」とする評論文章を掲載した。文章の作者は、日本在住の中国人ジャーナリスト・徐静波氏だ。(写真はケニアの首都・ナイロビ、写真提供:123RF)

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 日本政府の主導による第6回アフリカ開発会議(TICAD)が27-28日にケニア・ナイロビで開かれ、安倍晋三首相も出席した。会議では日本が「量より質」の支援をPRし、多くの支援プロジェクトが締結されたが、アフリカ地域での影響力強化を目指す中国は日本の動向に敏感になっている。

 中国メディア・鳳凰網は28日、「アフリカ道路建設支援 中国が日本より多くのお金を投じているのに、なぜ日本の方が評判がいいのか」とする評論文章を掲載した。文章の作者は、日本在住の中国人ジャーナリスト・徐静波氏だ。

 文章は、2008年に中国政府がケニア国内の高速道路建設を受注し、中国企業が全長50キロメートルの道路を地下道や歩道橋などの付帯設備を含めてわずか4年で建設し、「中国の奇跡」などと称されたことを紹介。一方で、日本も同時期にナイロビ市街の中心を走る全長15キロメートルの道路建設を受注、こちらは計画時の片側4車線を同2車線に減らして建設したうえ、完成までに6年を費やしたとした。

 そのうえで、両者について中国国内メディアが建設のスピードばかりに注目して報じていたと説明。しかし、よく調べてみると、日本は調査の段階で現地市民がジョギングを特に好むことに気づき、道路の両側に広い歩道を確保するために車線を減らしたこと、さらに雨季における排水環境を確保すべく広い側溝が設けられたことなど、単にスピードを追求するのではなく、細かい部分にまで配慮がなされていたことが判明したと伝えた。

 また、現地の商業界関係者に日本の投資や支援と中国との違いについて尋ねたところ「道路を作るのに、日本は現地の建設会社に施工させ、原材料も現地調達する。中国は材料を中国から輸入し、作業員も中国から連れてくる。中国のものは名義上援助となっているが、実際は自分たちの余ったものをわれわれに売りつけているのだ」とストレートに指摘されたことを紹介。

 中国が日本に学ぶべきか、との問いに対しても「もし中国が日本のようにケニア人を多く雇い、ケニアの材料を用いて、お金をケニアに残せば、現地人の中国に対する評価も変わるだろう」との回答を得たことを伝えている。

 中国のインフラ建設支援は、豊富な資金力やリソースを背景に、投資の規模や、完成までのスピードを重視する傾向にある。そして、「成果」を示したがる。かたや日本はスケールや資源では中国に太刀打ちできない代わりに、質の高さや「痒い所に手が届く」ような配慮を施すことで存在感を示している。この特徴の違いは、アフリカ地域のみならず、両国間で激しい受注争いが繰り広げられている世界の高速鉄道建設にも通じる所があると言えるだろう。(編集担当:今関忠馬)(写真はケニアの首都・ナイロビ、写真提供:123RF)