写真は所属事務所HPより

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 稀代の嘘つき男をめぐって場外バトルが勃発だ。週刊文春の報道がきっかけで経歴詐称が発覚した「ショーンK」こと、ショーン・マクアードル川上氏(48)。米テンプル大学卒業や名門、ハーバードでのMBA(経営学修士)取得などの“学歴ロンダリング”をはじめ、整形疑惑や自らの売りでもあった「ハーフ」という出自にも疑いが出ている。

 メディアの集中砲火を浴び、レギュラー出演していた番組を軒並み降板する憂き目に遭ったショーンKだが、ひっそりと反省と後悔の日々を過ごす川上氏をフライデーが、3月25日号で直撃した。するとその報道を“自作自演だ”と週刊文春が反撃。昨今、世間の話題をさらっている週刊誌ジャーナリズム同士のバトルへと発展しているのだ。

■自殺をほのめかし、号泣

 都内の住宅街で、フライデー記者の取材を受けた川上氏は、その日、誕生日を迎えたばかりだった。川上氏は記者の目の前で、自殺をほのめかした挙句に、『助けてください。本当にカンベンしてください』と懇願して号泣したと記事にはある。

 ただ、記事での川上氏に関する新事実の暴露などは皆無。むしろ川上氏の苦境ぶりを読者に強く印象付ける内容となっていた。

 さながら「悲劇のショーン劇場」の趣を漂わせていた記事の“種明かし”をしたのが、週刊文春だった。フライデーの直撃は、ショーンKとの“出来レース”だと指摘したのだ。

 事情を知る出版関係者が語る。

「記事自体が川上氏自らフライデーに売り込んで実現させたもの、と暴露したのです。フライデーなどの写真週刊誌では、まれに取材対象者がわざと情報をリークして写真を撮らせるケースがある。文春は今回の川上氏の記事もそうした類のものであると指摘したわけです」

 いわば文春は、同業者に公然とケンカを売ったわけである。マスコミ業界では同業者批判はタブーのひとつとされるが、スクープ連発で我が世の春を謳歌する文春にはそんな不文律も眼中にないようだ。

「実際、文春の攻撃は同業者にも容赦がない。甘利明元TPP担当大臣の建設業者からの500万円受領問題を報じた際には、情報のリーク元である人物について批判的に報じた一部メディアに訴訟もちらつかせながら、徹底抗戦していた。こうした姿勢からも文春のイケイケぶりが窺える」(前出の出版関係者)

 メディア間の仁義なき戦い。今後の展開がみものだ。

文・海保真一(かいほ・しんいち)※1967年秋田県生まれ。大学卒業後、週刊誌記者を経てフリーライターに。週刊誌で執筆し、芸能界のタブーから子供貧困など社会問題にも取り組む。主な著書に『格差社会の真実』(宙出版)ほか多数。