「Facebookで王室侮辱」の男性に禁錮30年の判決:タイ

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Facebook」でタイの王室を中傷したとされる男性に、禁錮30年の刑が言い渡された。同国はもともと厳格な不敬罪で知られているが、2014年5月のクーデター以来、不敬罪での有罪判決が大幅に増加している。

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Facebook」でタイの王室を中傷したとされる男性に、禁錮30年の刑が言い渡された。同国の不敬罪は厳しく、国王や女王、王位継承者、摂政を侮辱して有罪判決を受けると、侮辱した回数1回に付き最長15年の禁固刑が科される。

『The Guardian』紙が報じているように、バンコクの軍事裁判所は、Facebookに「王室を中傷するメッセージや写真を6回にわたって投稿した」件で、ポンサック・スリブーンペン被告(48歳)に対し有罪判決を下した。スリブーンペン被告は90年の禁固刑を言い渡される可能性もあったが、同裁判所が言い渡した刑期は「わずか」60年(1回の投稿に付き10年)で、被告が有罪を認めたため、さらに半分の30年に減刑された。

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スリブーンペン被告の弁護士によると、この刑期は、不敬罪では新記録の長期間だという。さらに同弁護士は、現在戒厳令下にあるタイの軍事裁判所が下した判決なので、控訴ができないと述べている。

The Guardian紙の記事によると、2014年5月のクーデター(日本語版記事)により民政から軍政に移行して以来、同国では不敬罪での有罪判決が大幅に増加しているという。

2015年3月にも、Facebookに「中傷的な」写真5枚を投稿したとされた58歳のビジネスマンが不敬罪で有罪判決を受け、当初宣告された50年の刑が、25年に減刑されたところだった。

ただし、「王室への中傷」に対して長期の禁固刑を科すのは、クーデター以前から、タイの「伝統」だ。『Ars Technica』は2006年に、米国に帰化したタイ出身者がタイに入国して逮捕され、不敬罪を認めるよう迫られたと報じている。この男性は、再び同じことをしないと約束し、タイ国王を讃えたため、その後釈放された。

2007年には、タイに10年間住んでいたスイス人の男性が、国王のポスターに落書きをしたところを監視カメラで特定され、不敬罪で禁錮20年の刑を言い渡された。男性は有罪を認めたため、刑期が半分に減刑され、最終的に10年間投獄されることになった

不敬罪は、検閲やオンライン監視の正当化にも利用されてきた。2007年には、タイでYouTubeへのアクセスが規制された。国王を侮辱した動画を公開したとされたからだ。

また、2014年には、不敬罪が、「王室を侮辱するコンテンツの制作者および閲覧者をターゲットにした」ネット監視に利用されていると報道された。The Guardian紙の記事によると、王政主義者のエリートや軍関係者にとっての政敵や、クーデターに反対する者にターゲットを絞って不敬罪が利用されているとの批判の声もある。

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