23日、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は8月1日からの東アジアカップに臨む日本代表メンバーを発表した。その会見の中で、監督がなぜか韓国にだけ言及しない事態がおきた。

「中国と朝鮮民主主義人民共和国の試合を見ました。デュエルはとても激しい。彼らが仕掛けてくるデュエルに対して、我々はフィジカルで対抗することになります。テクニックやクオリティに関しては我々は見せることができるでしょう」

「おそらく中国、朝鮮民主主義人民共和国との試合は普通の試合にはならないと思います。彼らは日本に対して凄く敵対心を持っています。彼らは100パーセント以上のモチベーションで我々に臨んでくると思います」

ところが韓国の話は出てこない。これまでの日本の戦いでは、韓国からは他の国よりも激しいデュエルを仕掛けられているのだが、監督は言及しなかった。

まだ韓国の情報を集めていないだけかもしれない。韓国の名前を出さないことで、これまでの激しい日韓戦を振り返らないようにしているのかもしれない。あるいは、あえて韓国について語らないことで挑発し、韓国が力で攻めてくるのを待っている可能性も考えられる。2013年の東アジアカップでは韓国が最初からパワーで押し込んできたが、うまくかわしてカウンターを決め2-1と勝利を収めた。その再現を狙っているのかもしれない……。

だが、本当に韓国の情報は入っているのだろうか。

ワールドカップ予選、初戦のシンガポール戦では日本は引いた相手からゴールを奪えず引き分けに終わった。今回のメンバー発表の際にも、ハリルホジッチ監督は川又について「もしシンガポール戦に出ていたら、彼のフィジカルでよい現象が起きていたかもしれません」と語った。だが、もしシンガポールがとことん引いてくることを予想できていたら――その事態になるだろうことは過去のアジア予選からは明らかだったのだが――川又が負傷した時点で豊田陽平を招集するべきだったのではないか。スペースがない中に、川又の代わりに呼ばれた永井謙佑ではタイプが違いすぎた。

このとき、監督に正しくアジア予選で相手チームがどう戦ってくるかという情報が入っていたのだろうか。そして監督にとって初めての韓国戦を迎える東アジアカップを前に、監督には日韓戦の歴史が伝えられているのだろうか。メンバー発表の会見からは不安をぬぐい去ることはできなかった。

【日本蹴球合同会社/森雅史】